明日は、函館競馬場で函館競馬の最後を飾る第56回函館
記念が行われます。
昭和期は、秋競馬に向けてのステップレースとしていたのか
優勝馬にはクラシックや重賞路線で活躍した名立たる馬達が
出走していました。
名馬達にはいろいろな逸話が存在しますが、函館記念で
思い出すのはメジロムサシの逸話です。
メジロムサシは昭和46年第7回函館記念優勝馬ですが、
横山典弘騎手のお父さんで当時メジロムサシの主戦騎手だった
故横山富雄騎手から聞いたお話です。
昭和45年のクラシック戦線では今一歩だったメジロムサシは
古馬になってから急成長し、この年、GⅠ春の天皇賞と宝塚記念、
目黒記念に優勝。
更に夏に休養することなく函館記念に挑戦しました。
この年、メジロムサシは今では考えられない11戦を戦うという
過酷なローテーションを組まれ、それでも11戦4勝、2着3回、
3着2回で重賞4勝を飾る等、好成績を上げ、大活躍をしました。
後に、この酷使がメジロムサシにダメージを蓄積させることに
なったと思っています。
タラレバになりますが、もしレース間隔をあけて、きちんとした
ローテーションを組んでいたら、海外でも国内でもメジロ軍団の
代表馬として、もっと活躍できたと今でも思っています。
東京、中山、京都、阪神、中京と5場を渡り歩いたメジロムサシは
函館記念にハンデキャップ62キロという厳しい重量の中でも
一番人気に押され、レースに挑みました。
横山騎手によると62キロの重量を背負っていたため、早めに
仕掛けたところ、メジロムサシはまだ早いと言わんばかりに
体を揺らし、自らが思った仕掛けどころで上がって行き、見事に
格の違いを見せつけ、優勝したそうです。
名馬にレースを教えてもらうことは多々あるそうですが、
まさに名馬に因んだ逸話で、これも競馬ロマンですね。
メジロムサシの晩年、那須種場所にいた時に会い行き、お話
できたことは、今では良い思い出です。
今年の出走馬の中では、クラシック路線やメジロムサシのような
古馬路線で活躍してきた馬は見当たりません。
昔と違い、春競馬で戦ってきた馬達は、疲れを考慮して夏は
休養に入っているのでしょう。
ダービー馬レイデオロの弟のレイエンダやランフォザローゼスは
クラシック候補と言われた評判馬でしたが、伸び悩んでいます。
よって秋競馬に向け、どの馬が勝っても不思議じゃない難しい
レースだと思います。
今年も全馬の無事を祈りながら、レースを見ます。