命を守る行動に出た私は、しばらく先輩たちがいるところから離れたところに座っていた。

 

「これ、ほんとに、心臓もつの?」

 

不安になったことを覚えている。

 

 

距離があるので話しにくそうにしながら会話に入れてくれる先輩たち。(笑)

 

 

「そろそろこっち来いや」

 

 

そう言いながら自分の横にスペースを作り、イスを置く先輩。

 

 

完全に席が指定されている。

 

 

おずおずとその席に着こうとしながらも、少しイスを先輩から離しながら座る私。

 

 

社会人になって10年以上経っているとはいえ、気軽に触られかねない。

 

 

そんなことをされたら、〇ぬ。

 

 

あー、近いなぁ。

 

 

ずっと遠かったのに、真隣にいて、容赦なくこっちを向いてしゃべってくる。

 

 

それはそれは、嬉しそうに。(という風に見えた)

 

 

すっごい恥ずかしいけど、逃げ出したいけど、

 

円形にイスを並べて談笑している今、すでにさっき大概おかしな行動を取った今、

 

さらに意味不明な動きをするわけにはいかない。

 

 

もう、この時何をしゃべったのか覚えていない。

 

 

ずっと好きだった、ずっと会いたかった先輩が真隣にいる、という状況に耐えるのに精一杯だった。

 

 

何十分かその状態が続き、食事の用意ができたとのことで、また改めて席に着くこととなった。

 

 

今までの忘年会なら、大広間に座卓が並べてあって、

 

そこに自由に座ったり、大先輩がくじを作ってくれたりしていたが、

 

今回は10人ほどと少なかったのもあって、旅館が一部リニューアルしたのもあって、テーブルとイスでの食事だった。

 

 

先輩は何のためらいもなく、

 

「ここに座れ」

 

と言わんばかりに隣を指差した。

 

 

私もせっかくなので隣に座りたかったけど、

 

隣に座って恥ずかしそうにしている自分を他の人が見る、

 

と考えると耐えられないと思い、親しかった違う先輩の隣に座った。

 

 

すると、先輩は

 

「まあええわ」

 

という顔をして、私の正面にどかっと座った。

 

 

今こうして客観的になって当時の状況を書いていると…

 

先輩は私のことを、昔もその時も変わらず相当気に入ってたんでしょうね…(照)

 

ちなみに先輩は、セリフだけを見るとまるで輩のようですが(笑)、いたって普通のノーマルな大阪人です。

 

 

食事が始まり、昔の話やそれぞれの近況を聞きました。

 

みんなそれぞれ、同じだけ時間が経過していて、でも中身は変わらずなので、個々のエピソードを聞くのが本当に楽しかった。

 

私はすっかり「田舎で子育て」な世界の住人だったので、余計に。

 

久しぶりに学生時代の自分に戻り、たくさん笑いながら、

 

「今のうちにたくさん見ておこう」

 

と、先輩の顔を眺めました。

 

 

久しぶりに見る先輩は、仕事がハードなのもあるのか白髪が目立っていたけれど、私にとっては安心できる顔。

 

そして、受話器越しではない、生の声。

 

私はこの声が大好きで、相変わらず心臓はドキドキしているものの、落ち着く声。

 

その声で

 

「しあ」

 

と名前を呼ばれるたびに、満たされた気持ちになりました。

 

これを書いている今でも、先輩を想う時は、頭の中で名前を呼んでもらっています。(笑)

 

この人に名前を呼ばれるのが一番好き。

 

 

さて、食事も進み、お酒も入り、会話は盛り上がってゆき。

 

話題は、先輩弟や、先輩夫婦の話となりました。