「集団のプロセスとラカン理論の応用」

 

白石 潔

 

1.   集団の成員が構成する母胎集団

 

・  集団の成員が表現する全てを受け取る器としての母胎集団。

 

・  母子関係の基本的構造に由来する大文字の他者としての母集団(=集団を構成している個々の成員の“個々の情緒的結合”に由来している精神力動の動態が呈する様相の“場”)。

 

・  集団の成員は、自らが構成する集団を母集団である大文字の他者として、自らの表現を大文字の他者との構造と同相で機能している集団力動として体験する。

 

・  大文字の他者は、母子関係に於ける精神力動と同様に集団の成員が表現する全ての次元を保障し、集団の成員が構成する集団力動を間主観的次元を常に考慮しながら、集団の無意識の様相を、“関与しながらの観察”の次元での介入も行っている。

 

・  大文字の他者により、保障されている全ての表現の次元は、シニフィアンの連鎖として集団の成員が構成する集団力動が、鏡像関係でも成り立っている更なるシニフィアンの連鎖を保障できる構造で、作動グループを阻み続ける想像的集団が、集団の発達・成長に精神力動的に有効に作用し続ける仕組みを潜在化させている。

 

・  このような集団状況では、<集団を構成するメンバーの想像的同一化を繰り返す集団力動の恒常的発達>が、保障されていることに気付くことが大切である。

 

・  想像的同一化における集団の諸様態は、批判―賛同、攻撃性―愛着、不信-信頼、不安―安心、拒否―受け入れ、正義―不正義、善―悪、抑圧―抵抗として集団状況に出現する。

 

・  然しながら、人類の歴史を鑑みながら、現実に起きている“武器を洗練させながらの戦争”を鑑みると、フロイトとアインシュタインの間で語られている<“エロス”と“タナトス”及び“文化”>の精神力動を無視することができない論理的に制約のある次元での命題と為っている。

 

・  そこで、、“文化”に着目する前に、“欲動(=Trieb、Pulsion)の運命”に関しての<フロイトの“未解決の命題”>に向き合うことで、“ある種の解”が見い出される可能性が在り得ることは否定できない。

 

・  この命題は、ラカン理論に於いては、<“jouissance”及び“reel”>が、<コトバを喋るフロイト的無意識の主体の“言語とリビドー”>に関しての“数学的次元”に構造化されている“構造式の発見”に着目することに為り得ると思われる。

 

・  フロイトの定義した<リビドー/デストリュドー>は、エネルギーの構造式と捉えることができれば、<+/->のエネルギー価の表記として採用可能で、<生/死:欲動の“エネルギー価”>としても理解可能である。

 

・  生に纏わる原点は、受精卵を源本にした“生命体の構造化:内分泌系・免疫系・神経系/内胚葉・中胚葉・外胚葉”の理解を基に、ルネ・トムの微分幾何学の次元に在る構造的様相が役に立つと思われる。

 

2.   集団を構成する成員が表現するもの

 

・  メンバーが個々に表現するものは、表現する当事者の欲動の対象と切り離せぬもので、集団状況には情動が感情に変換されて出現することが多々観られる。

 

・  集団は、情動処理を必要とし集団力動が展開する。=フロイトの力動論、経済論、場所論的解釈が可能となる。

 

・  ビオンの基底的想定(文化)グループ及びプロトメンタル・システムによる集団力動の様相と集団の想像的展開や集団状況に派生する情動量の処理過程の相関性が理解可能となる。

 

・  ビオンが想定した論理的発見に、“ヴァレンシー(=原子価)”と名付けられた“集団現象”があり、この集団の無意識の力動的要因は、“小集団”で見い出された集団の力動が、ある種のベクトル価による指向性を持ち、集団の凝集性に向かう役割を持つという考えに至り、<集団の理論の原理と原則が仮説として提示されている>と考えられる。

 

・  ビオンのプロトメンタル・システムに在る<原始的な“情緒的結合”の次元>は、<“化学式”の“元素の結合”>を例に挙げており、<ある意味では、“全体”としての“集団”を、“分子”として理解できる“理論的仮説”の構築>として理解できる。

 

・  そこで、ビオンのヴァレンシー(=原子価)に関して、目を向けると、プロトメンタル・システムには、3つの基底的想定文化が、集団で作動しているが、果たして、<“小集団”に於ける“特殊な精神力動”の“理論的位置付け”>を、<どう?すべきか?>の疑問が残る。

 

・  <磁場で、測定できる磁性及び磁気>や<量子力学の研究対象に為っているニュートリノ>をモデルとして考えると、ヴァレンシーに関しての考察が、プロトメンタル・システムとは異なる次元の集団力動の現象であることが理解できると、集団を構成している個々の成員が、<個々に有している“個別磁性型のエネルギー動態”>が、<一つのエネルギー動態に成って行く“集団の様相”と考える>ことが可能になるという仮説である。

 

補足:デストルドー(英語: destrudoまたはdeath drive、ドイツ語:Todestrieb (トーデストリープ))とは、ジークムント・フロイトの提唱した精神分析学用語で、死へ向かおうとする欲動のこと。タナトス(英語: Thanatos)もほぼ同義で、死の神であるタナトスの神話に由来する。Lebenstrieb(=レーベントリープ:リビドー)は、「生の欲動」で、ベルグソンのelan-vitalと近似的に理解することが可能とも考え得る。