「発達障害についての基本的な考え方への覚書」
Cabiet de nedico-Psy Φ
白石潔
今回、この覚書として文章にしている内容は、我々が目指しているこども達や彼等の家族への支援に役に立つ「今の時代の発達障害に関する理解」を取り敢えず、前提にしています。
一応、脳科学の研究を核にした理解によって、2005年の「発達障害者支援法」が施行されました。そして、発達障害は、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義づけられ、知的障害を伴わない人及び既に成人となった人をも含め、その概念が大きく広げられました。
そこで、まず、発達障害の理解に役に立ちそうな脳の構造が目に見える画像を張り付けてはいませんが、脳と五感及び運動企画に関することを素描しています。しかし、特別に、脳神経学的な理解に重きを置く必要はありません。症状のメカニズムの理解に役に立ちそうであれば、脳の機能と結びつけることも出来るように書いています。この部分の記述を前ぶりにしているのは、症状についての考えを、読みながら個人的な次元での理解を自由にする為です。
また、児童青年期精神医学学会で、脳の解剖学者で昆虫学者でもある養老孟子先生が、脳科学の次元に在る研究に対して、ある意味では、脳の可塑性と結び付くかも知れませんが、「画像診断や磁気による磁場で現象的に捉えられる瞬間的な様相は、脳の有機的に変化を続けている機能的構造を見落としている可能性が在りうる」という私なりの理解が前提としてあるからです。
さて、話を元に戻しますと、現在は、DSM-Ⅴでは、LD、AD/HD、自閉スペクトラム症に診断基準が簡素化され、自閉スペクトラム症は、①自閉性障害➁アスペルガー障害に、①➁の診断カテゴリーに属さない一群となっています。この診断基準は、オーストリアの児童精神科医であるアスペルガーの1943年の研究論文を研究しつくした、イギリスの児童精神医学者であるノーラ・ウィング女史が、1990年に完成させ提唱した「自閉症スペクトラム」(=:「対人相互性の障害」「非言語性のコミュニケーション障害」「常道的・反復的な関心と活動性」)を大きな3つの臨床的特徴としているという臨床特性が採用されていると思われます。ウィング女史は、本人・家族・社会に対しての養育・療育・教育をより良くできるための啓蒙を大切にしていたと、私は、思っています。
自閉症を中核にした脳科学の研究を、まず、最初に、考えてみます。
遺伝素因を始め内分泌・免疫・神経系の研究が進んでいますが、未だに病因論次元の研究は、未知の領域にあります。
しかし、最先端の脳科学に、「人間の根源的意識」は大脳皮質の「第一次運動野と第一体性感覚野と側頭葉の活動に由来している」という磁気の磁場を拠り所にした研究仮説がありますが、胎児段階を考慮すると誕生後に組織化されていく様々な連合野の中でも「第一次運動野と体性感覚野」が、人間存在にとって大きな役割を担っていることは推測できそうです。当然、言語との関連で重要な役割を担っている「側頭葉」が、関与していることは理解しやすいといえます。
『発達障害を理解するうえで、役に立つ脳科学の視点』
・形態学的形成:3ヶ月で脳の個別化、その後、重さと体積が増え、表面に1次2次3次としわ(sillons)が形成されます。出生時、全体的に成人脳に近いのですが、前頭葉と側頭葉の発達は遅く、3次形成が終わっていません。
また、1年目の脳の体積の増加は、1年目から成人期に至る増加よりも多く、頭囲が大きくなります。
・出生時、ニューロンの基本形は出来上がっており、9ヶ月以降に新たなニューロンは出来ませんが、ニューロンの接合は継続的になされます。
・体性感覚は、筋肉、腱、関節、内臓にも関係している感覚ですが、ここでは、皮膚感覚である触覚、温痛覚、圧覚として感じられる次元の感覚を五感感覚の触覚系に注目しています。
・固有感覚は、皮膚、筋肉、腱の感覚器を通して受け止められ、脊髄を上行し視床から両側頭頂葉の一次体性感覚野に送られます。
・固有感覚は小脳と結びつき、運動の調整をしています。
・大脳皮質の覚醒度と前頭前野の役割は、運動企画及び思考企画に関わっていると考えられます。
・味覚は舌により甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の化学物質で感知され第7-9-10脳神経を通して大脳に送られています。
・視覚は、目から光を感受した網膜細胞の興奮が視神経(第2脳神経)を経由し視床に送られます。外側膝状核は色や形などに信号を分け、後頭葉の一次視覚野に情報を送ります。視床下部にある視交叉で左右からの視神経は二分され、右からの光は左脳へ左からは右脳へ送られます。一次視覚野から連合野に送られる情報は、物体の認識に関しては側頭葉で処理され、図形など空間の識別は頭頂葉で処理されるのです。
・聴覚は耳からの音信号による感覚細胞の興奮で、内耳神経(第8神経)を経て脳幹(内側膝状体)から両側側頭葉の一次聴覚野に送られます。そして、音刺激は、右耳からの音は左脳へ、左耳からの音は右脳へより強く送られます。内耳には前庭と半規管があり、平衡感覚器として機能し、リンパ液が引力や動きによって管内を動くことで感覚細胞が興奮し、その情報を脳幹、小脳に送ることで感知されることで、傾き、移動の感覚になっているのです。
新生児の聴力は、誕生前に80%ほどとも言われていますので、胎生期の母胎環境が如何に大切であるかが、良く分かります。
・嗅覚は鼻で知覚され、化学物質である匂いや香りを感知しています。匂いは鼻腔上部の粘膜の嗅覚器から直接に側頭葉の梨状皮質に送られます。そして、この梨状皮質は海馬とともに記憶のセンターでもあるのです。そして、人間の嗅覚、味覚は、古い感覚器で乳児期に記憶されてしまう古層の原始的記憶になっています。
<中枢神経>
大脳、脳幹(間脳、中脳・橋・延髄)、小脳、脊髄の4つの部位からなっています。
・大脳は、表面が皮質と呼ばれる神経細胞の集合体で、全体の40%を占める前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉に分割されます。
大脳皮質は、五感からの情報を受ける一次感覚野と、その情報を記憶装置の構造的に複雑な反応回路を作る新皮質とも呼ばれる連合野で、反応を組み立て送り出す一次運動野とそれを調整する連合野からなっています。ここで大切なことは、ヒトだけが持っている連合野は新々皮質とも呼ばれています。
・脳は、体重の2-3%で1500gほどの重さで、心臓から送り出される全血液量の20%を必要とするエネルギーを最大に消費する器官です。そして、脳は、血液脳関門というバリアーを作り、ブドウ糖やアミノ酸などごく一部の物質しか通さない仕組みになっています。
・大脳は、表層は神経細胞の集合で灰色です。内部は、情報を伝える神経線維で白色になっていて、深部中央には基底核の神経細胞の集合があり、運動の調節や一部の記憶に関わっているのです。この大脳は、側性化により左右半球に分かれ神経細胞である脳梁で結ばれており、脳梁により情報は瞬時に相互交換され協調活動がなされます。
・間脳は、脳幹の最上部にあり大部分は視床で構造化されています。視床は、身体からの全ての情報を集め、脳に適切に配分している情報配分センターとなっています。また、間脳周囲の古い皮質で、旧い神経細胞で組織されている扁桃核、帯状回、海馬は、大脳辺縁系と呼ばれ快-不快、怒りや恐怖、記憶や性欲などの情動や本能のセンターとなっているのです。⇒発達障害に関する理解だけではなく、全ての精神疾患の理解に関わっている要素でもある。
・間脳を除く脳幹は、上部から中脳、橋、延髄で、大切な生命維持センターになっています。意識、呼吸、心拍などの機能を統括しており、意識の機構は脳幹網様態賦活系と呼ばれ、覚醒と睡眠がコントロールされてもいます。
・小脳は、運動や姿勢のコントロールセンターで、大脳で学習された運動が、小脳に保存され、効率的に利用されるのです。
<末梢神経>
・脊髄は、脳と抹消を結ぶ連絡路で、大脳の中枢神経が脳からの指令を受け末梢神経と切り替わる部位は脊髄の前角部にあります。
・末梢神経は、感覚器や皮膚・筋肉からの情報を中枢に伝え、また中枢からの指令を抹消の筋肉系に伝えます。
ヒトでは、脳幹から左右 12 対の脳神経系の末梢神経と脊髄からは左右31対の脊髄神経の末梢神経が全身に分布しています。そして、脳神経系は、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚などの感覚器と脳を結びます。
脊髄神経は、四肢・躯幹からの感覚情報を脳に伝え、また中枢からの指令を筋肉に伝えています。脳に向かう末梢神経は感覚神経(求心性神経)と呼ばれ、中枢から末梢に向かう末梢神経は運動神経(遠心性神経)と呼ばれています。
<自律神経>
・自律神経の中枢は、視床の下にある視床下部と延髄にあり、御存じの通り、自律神経は交感神経と副交感神経からなっています。つまり、体内状況を感知し外界の変化に対応する仕組みなのです。交感神経は、身体を興奮や緊張の状態に、副交感神経は、安静と回復の状態にします。これらの反応はシナプスという神経細胞の情報伝達でノルアドレナリンやアセチルコリン等の神経伝物質を介して行われています。また、視床下部は内分泌系の機能を、延髄は呼吸・血圧・心拍等の機能を統括しています。
<迷走神経>
・迷走神経は、12対ある脳神経の第10対で第10脳神経とも言われているもので、知覚・運動・分泌をつかさどり、生理学的には副交感性と理解されています。脳神経の中でも最大の分布領域を持っており、交感神経とも混じりあい、多数に枝分かれして複雑な経路を持っています。
・脳の延髄から生じている本幹は、頚静脈孔を通じ頭蓋腔外に出て首の両側を下り、胸腔に入り食道の両側に沿って走り、横隔膜を貫いて腹腔に入っていきます。
・この神経の迷走は、咽頭・気管・気管支・肺・心臓・食道に枝を出し、腹腔内でも多くの枝に分かれて胃・腸・肝臓・膵臓・脾臓・腎臓等に広く分布しています。
※※※『発達障害の示す特性を考える』※※※
<表出性・受容性言語の問題>
a.コミュニケーション障害
・単語、特に名詞は獲得しているので、人が話している内容をある程度理解することは出来るが漠然とした理解に止まる。
・ある程度の理解は、経験に基づいた視覚的記憶体験に委ねられている場合に良好に発揮でき、特に個人的な関心の領域に限定されるとかなり豊かである。
・あたかも外国語を聴取しているかのごとく、表現された内容がキチンと聴き取ることが困難で、文章構成の基本である文法構造が不備なことやある言葉に気を取られその意味に引っかかり、その結果、文脈や言葉のニュアンスが読み取れない。
・いつ、どこで、誰が、何を、何のために、どうして、どうなったかを組み立てて他人に話せないし書けない⇒時間、場所、主語、対象、目的、方法、結果の要素的構成の困難さ。
・意味の流れや動きの変化を推論により事前に推測することが困難なために 状況を読めない。
・言語的レベルの意味が的確に理解されていない→漠然とした感覚的周辺理解に止まっている。
・能動的言語活動の困難さ→受身的聴取的態度が優勢。
・コトバによるキャッチボールが不可能。
・状況を把握し分かりやすい枠組みを保障してくれる目上である大人や自らが状況を能動的に支配できる言語表現能力の拙い年少者との関係は比較的に良好。
b.対人関係障害
・視覚的に状況が流動的に変化する中で意味の流れを掴むことが困難(視覚過敏)なために、自分がどのように振舞ったらよいかが分からない。
・聴覚的に話の内容として入ってきた情報を、三人以上になると上手く処理できず、話についていけない。
・他人と共用している状況で自己感覚に揺らぎが生じ、悪性の緊張を抱え自己の安全感を失いやすい⇒一人を好む。
・思いついてしまったことや気になってしまったこと(思考観念)を自分のうちに保留することが困難で、つい関係ないと思われることを口走ってしまう。
・禁止されていることや社会通念上口にしてはならないことを口にしてしまい、他人から顰蹙をかってしまう。
・本音と建前、表と裏、内と外など日本に特有の文化的対人様式とコミュニケーションの特性への戸惑いがあり、理解することが困難⇒なぜ、そのような表現になるのか?が、謎になる。
⇒神経症化した発言に対する不可思議さと暴露傾向。
⇒他者の自己愛的課題への感受性による直接的表現。
c.衝動行為
・安定していた自分の感覚(自己感覚)や慣れて維持されていた考え(思考感覚)に揺らぎが生じたことにより、内的緊張及び興奮が高まりそのエネルギーを言語的方法により処理できないことによって、行為による手段しかその不快状況からの解放手段として成り立たない状況。
・内的緊張興奮を高める(悪性表象)が目に入ったり、触れたり、臭ったり、味わあされたり、嫌なコトバを聞かされたりしたことで不安緊張興奮が昂進(悪性緊張)し行為によって、不快なエネルギーが放出される。
・トラウマ的体験による感覚野への過剰刺激を誘発する表象が原因で出現するパニック様の発作からの不穏状態。
・自己肯定感及び自尊感情の低下による抑うつ状態誘発の行為障害型の衝動行為。
・不快、葛藤耐性の低さにより生じる不穏型。
<聴覚的短期記憶の問題>
a.学習困難
・表現されたものの最後の言葉を聴いて、表現された内容を把握することが困難なため、受動型の学習である授業形式は、殆ど有効とは言えない。
・聴いた言葉の意味は、程々に理解できているが、視覚化(=視覚的イメージ)による認識が欠如しているため、抽象的な理解になりやすい。
・「○○は、間違い」や「○○にならないように」等、注意事項に対して、最後に述べられた語句が記憶に残り易い為に、素早く行動に移せなかったり、正反対のことをしたりする失敗行為が起こりやすい。
⇒このような状況では、失敗体験が頻繁に生じてしまう為に、「間違ってはならない!」・「こんなふうにやってはならない!」・「忘れてはならない!」などと強度な言い聞かせをしてしまう為に、精神的な反動としての“抑圧”が作用してしまうことで、「忘れないようにしていたはずのことを、結果、忘れてしまったり、やってはならないことをしてしまう」等の失敗体験になることが多い。
⇒このような失敗体験のメカニズムを理解されていないと、「○○は、してはならない!と、言ったでしょ!?」のような注意を受けることが多くなり、「物事を無視して、勝手に、わざとしている」と誤解されやすい。
・修得度が低く、時間のロスが大きい。
b.状況認知の問題
・耳に入った聴覚情報を記憶することが有効になされていないために、主観的な意味付けがなされやすい。
・全体的な状況を把握できないことで、必然的に派生する不安と緊張を下げようとして、自分の関心のあることや全く関係のないことを言ってしまうことがある。
・消極的で、受け身になり易く、繕い型の表面的な適応態度を示しやすい。
・聴いたことの意味内容が、きちんと把握されていないために、状況判断が困難になってしまい、「自らの判断ができず、素早い行動ができない」ことがめだつ。
⇒「自分が、分かっていない」ことを、「他人に知られる」ことを恐れ、突拍子もない軽率な行動に出ることがある。
c.集団生活の困難
・最後まで、きちんと聴くことができず、聴き洩らしが多いので、状況に適応することが難しくなる。
・複雑な聴覚情報の同時的で継時的な処理が上手く出来ない為に、物事の流れに付いて行けずに混乱することが多々ある。
・不安や緊張を抱えた状態で、<ルールが把握できない状況>で、周囲からは<勝手なことをしている>と思われてしまう。
・二者関係や少数の環境では、問題になるようなことが少なくなる。
・時には、主観的で独善的な考えや行動が目立つ。
・矛盾や不都合なことに対し、過剰にこだわりを示し、批判的な在り方に陥りやすい。
⇒拒否・拒絶型の主張や行動が目立ち、反抗的態度が激しい場合もある。
⇒正義や正論を主張する傾向が目立つ。
d.忘れ物
・その場では、理解できているが、忘れてしまうことが多い。
⇒視覚・聴覚の短期記憶問題。
e.不注意
・聴覚刺激である聴覚情報の拡散状況が引き起こす集中力の低下。
・文脈を捉え切れず、部分的な理解・認識に落ちり易い。
⇒「説明の仕方が悪い」と外罰的になり易い。
・注意・集中を妨げる聴覚刺激に過剰反応する。
<視覚的短期記憶及び同時処理の問題>
a.学習困難
・視覚的に入力される情報の処理が、部分的な刺激に囚われ、全体が掴めない。
・入力された視覚情報から優先順位が付けられないことで、大切な情報が抽出できず、与えられた情報の平板化が起きる。
・入力された情報の量に対応できず、目移りして集中力が低下し、処理が困難になる。
⇒文字の数や目にした対象の枚数などで、視覚情報が過剰すぎ拒絶反応が起きやすい。
⇒拡大コピー型のテキストや資料が有効な原理。
⇒一枚の紙面に提供された情報量を、数枚にして、視覚情報量を減らし、処理効果を高めることから始める。
・目に入る視空間内の視覚刺激に過剰に反応し、優先的に必要となる情報を抽出できない。
⇒教室の一番前の席が、有用な原理。
⇒ブース型の学習環境で視覚情報の入力量を制限し効率を上げる原理。
・視覚的に捉えることができ、処理過程で理解・認識された情報も、目を離してしまうと記憶に収納されておらず、学習次元に在る修得に至らない。
⇒確認強迫的な行動パターンが生じることもある。
・入力された視覚情報を順番に処理することは出来ても、多くの情報量を同時に処理することの困難さを抱えており、処理する時間が長くなる。
b.状況認知の問題
・視覚情報の量に対応できず、優先順位を要する必要な要素を選別して意味化していく作業が困難になることが多い。
・視覚情報の質的差異化による優先順位が掴めず、状況を理解・認識することが困難になることが多い。
・視空間の知覚・認知に問題があることが多く、基本的な位置関係などが上手に掴めない。
⇒道に迷いやすかったり、地図が読めなかったりする。
・場が読めない・雰囲気を感じ取れない・空気が読めない等の状況認知の問題が多々見られる。
⇒非言語的次元に在る意味を掴めない(=心の理論)。
⇒パターン化された視覚情報のファイル化が上手く出来ない。
⇒非常識な行動や言動が目立つことがある。
・視覚的に入力された情報の継時的処理が上手くいかず、物事の流れを上手くつかめない。
c.不器用
・見たものを覚えられず、物事の順序を把握できないことが多い。
・視覚記憶の持続が難しい為に、再現行為である真似・模倣運動ができない。
・運動企画・協調運動にも困難さが目立つ。
⇒観念と身体運動の不連動。
・視空間の情報把握が困難で、物の動きを予測した身体動作が難しい。
⇒縄跳びなどが、上手く出来ない。
⇒ボールをキャッチしたり投げたりすることが難しい。
・視空間認知の問題で、物の配置を上手に捉えることができない。
⇒片付けや整理整頓が上手く出来ない。
⇒体操などの模倣動作が上手く出来ない。
d.忘れ物
・視覚的短期記憶の問題。
⇒見て認識したという意識と覚えたという錯覚。
・視覚的同時処理の問題。
⇒周辺視野に属する視覚刺激に過剰な反応を示すことで、肝腎なものを見逃してしまう。
e.不注意
・視空間の把握が困難で、スムーズな動きが出来ない。
⇒動きを保証できる視覚ポイントに頼り、身近にある様々な視覚情報を見逃してしまい、躓いたり、転んだりしやすい。
⇒主観軸にある視空間の認知は、中心視野>周辺視野といえる。
<運動発達、感覚調整の問題>
a.多動
・前庭覚(=揺れ・動き)への過少入力。
⇒覚醒度が低い。
⇒激しい揺れなど強い刺激を好む。
⇒注意集中の持続が困難。
⇒椅子を揺らすなど体動が目立つ。
⇒自己刺激入力型の行動パターン(=多動型行動パターン)が目立つ。
⇒落ち着きがなく、離籍して動き回る。
⇒易疲労性が目立ち、疲れやすい。
・固有受容覚の過少入力。
⇒力加減が、上手く調整できない。
⇒圧迫感など強い刺激を好みやすい。
⇒圧迫を強く感じるような座り方が目立つ。
⇒壁を殴る・蹴るなど激しい行為見られる。
⇒暴れたり、ふざけたり、格闘技ごっこを好む。
⇒書字がゆっくりで過剰に丁寧だったり、雑だったりでムラがある。
⇒粗暴で暴力的な在り方を示すと思われてしまう。
⇒姿勢を保てない。
⇒疲れやすい。
・周辺視野への過剰反応。
⇒視覚刺激に過敏に反応し過ぎて、連続性が保てない。
⇒目移りして集中できない。
⇒読字・判読が困難になり易い。
⇒視覚情報の入力量が多くなるとミスが目立つ。
⇒疲れやすい。
・筋トーンが低い。
⇒高重力姿勢反応の問題:同じ姿勢を長く保てない。
⇒姿勢背傾運動の問題:作業をしながら姿勢を保てない。
⇒筋緊張の持続が困難:注意集中に問題が生じる。
⇒ダラーッとうつ伏せになり寝るような姿勢を好む。
⇒疲れやすい。
b.不注意
・注意集中の問題。
・短期記憶の問題。
・感覚過敏の問題。
・自己感覚優位性の問題。
c.衝動行為
・悪性緊張の処理不全の問題。
・客観性を欠く主観的理解が優位で、その理解が中心となり興奮が高まる。
・被害的解釈の文脈に陥りやすい。
・自己肯定感を保てず、投げやりな自己破壊的な行為が誘発されやすい。
・不快対象によるトラウマ型フラッシュバックとパニック状態に陥りやすい。
・(偽)解離型反応の病理特性が見られる。
d.協調・協応運動障害
・運動企画の問題。
⇒複合運動(=ダンス、跳びながら、走りながら他の運動をする等)が困難。
⇒観念―運動(=行進・徒走・ケンパー・お手玉等)の運動不全。
⇒触覚系の過剰及び過少入力による身体図式から身体像の形成不全。
・協応運動の問題。
⇒視覚-運動の連動作用の問題。
⇒指先が不器用:触覚過敏・触覚過少入力。
⇒板書が困難で、書字の表記が難しい。
⇒靴の紐が結べない。
・側性化の問題。
⇒右左の左右差が良く把握できていない。
⇒方向音痴で、迷子になり易い。
⇒地図が読めない。
⇒模倣運動が困難。
⇒眼球運動で正中線の超えた状況の対象への追視が上手く出来ない。
・筋トーンの問題。
⇒姿勢を保てない:抗重力姿勢反応の低下。
⇒作業をしながら姿勢が崩れる:姿勢背傾運動の過剰反応。
⇒逆上がり、腹筋運動、マット運動(=筋肉の同時収縮)等が困難。
e.状況認知の問題
・視空間の把握(=同時・継時処理)の問題。
⇒狭い場所、隅っこ、掃除道具入れ、トイレ、図書館、保健室等を好む。
⇒掃除をしていても、一つの行為に止まってしまう。
⇒全体を把握することが困難で、臨機応変に対応できない。
・自己感覚を保証する物理的質及び量的空間の問題。
⇒全体集会など、大勢の人間が集まる場所で、過緊張状態に陥る。
⇒注意集中を欠き、身体的緊張(=頭痛、吐き気、頻尿、腹痛等)が出現しやすい。
⇒視覚・聴覚・嗅覚・触覚への過剰反応。
⇒身体性の物理的距離感による圧迫感の亢進。
⇒回避行動パターンの繰り返し。
f.対人関係の問題
・度を越したふざけや乱暴な粗暴行為によって、誤解を受けてしまう。
・独善的な考えや非常識な行動が目立つ。
・自信の持てない過剰緊張状態で、消極的な態度のなる。
・集団の場に、必要以上の悪性の緊張を派生させてしまう。
・様々な刺激に過剰反応し、侵入不安が生じ過緊張状態に陥りやすい。
・場の空気が読めず、的外れの在り方になり易い。
・被害者意識に苦しむ。
・主観―客観のズレによるトラブルが頻発しやすい。
<2次障害型抑うつ>
a.自尊感情の低下 b.自己肯定間の低下 c.達成感の乏しさ d.達成意欲の低下
e.対人緊張 f.対人恐怖 g.自己否定感 h.自信喪失 i.被害感 j.破壊衝動行為
k.不眠 l.こだわり行為 m.自己放棄的なげやり行為 n.希死念慮
<2次障害型精神次元の様相>
・現実原則に向き合う為の自我機能の脆弱性による葛藤耐性の低下。
・自己感覚優位性による不快耐性の低下。
↓
情動処理不全
悪性緊張処理不全
衝動性のコントロール不全
回避行動(++±)
↓↑
レジリアンスの低下