《 前回のお話 》





《 ACT . 3 》



わたしは高熱を出して ダウンした



しかも  こともあろうか

バラナシで、 だ !




バラナシは、ガンガー沿いにある
ヒンドゥー教の聖地だ


巡礼者やインド人なら誰しも
人生で1度は訪れてみたいと願う
尊い夢の聖地


ちなみに、ガンガーとはガンジス川の意
地元の人たちは 聖なるガンジス川を
敬愛を込めて 「ガンガー」 と呼んでいた


今回インドへ旅へ来た最大の目的でもある
ガンガーへの巡礼 … 


なのに、なのに!!!!
熱出して 倒れた 



ガンガーでの沐浴も叶わない … 

ぐぬぬぬぬぅぅぅぅーーーー




しかも厄介なことに、 
何の発熱なのか、その原因が怪しかった
列車やバスを乗り継いで 連日長距離の移動
旅の疲れがマックス極まった! 
… だけかもしれないが、


実は熱の数日前、
街でクギが刺さって、足に穴が開いていた
傷口から破傷風にかかって
発熱していたら… ゆゆしき事態  


さくっと、病院に行けば良いものを
わたしは、  何をしていたのだろう…
辛いのを、我慢した  (←愚かなり)
旅の仲間に、 遠慮してしまったのだ


『 (›´ω`‹ ) 私が病院に行く言うたら、付き添いでみんなついてくるやん? … そしたら1日予定潰れるわけやん?? せっかくバラナシにおるんやし…  普通に考えて病院付き添いとか嫌やん?? あー …  みんな今日マーケット行くんや!? え?布買うの? あ、革製のスリッパ買いたいのね、安いからねサンダル、300円くらいやもんね、爆買いするんや、え? てかサンダルそんな要る? うんうん、買い物見てるだけで楽しいもんな、わかるー  うんうんうん … 』


 … などと思い、
旅の仲間に気を遣って言った



『 私、大丈夫!  寝てたら治ると思う!!
みんな買い物楽しんできて♪♪ 』



 
明らかに嘘だった  
大丈夫なわけない!
震えるくらい熱が出てるのに …
なぜ「助けてたもれー」と言えなかったのか
今でも、謎である 


そんなこんなで、 
私は1人宿に残り 
寄る辺なさを抱えながら 
部屋で1人、 熱にうなされていた 






バラナシという土地は、停電が多い
多いというか、
むしろ停電してる時間の方が長いくらいだ


コテージの自室で寝ていたら
案の定、停電が始まり
部屋のシーリングファンが止まった



熱で立ち上がれないほど辛かったので
停電は無視して、そのまま寝続けた
そして、
バラナシに来てからルームシェアしている
ヤモリ氏の壁移動を、目で追っていた


バラナシはガンガーの川沿いの地域だ
よって湿気も高く、常にウェッティで
この土地の風土は
ヤモリ氏にとっては楽園らしかった
ピンク色のコテージの壁に
黒っぽいヤモリ氏
くっきりとしたコントラストゆえ
目立つこと、この上ない


バラナシに来た初日は
「壁にめっちゃヤモリ描いてあるやーん!
聖地やし、何か意味とかあるんかなー??」
なーんて、穿った見方をしていたが
ヤモリの画は知らぬまに移動したり
席取りゲームのように頻繁に、勝手に、
配置換えがなされていたので
後に、それらがリアルな生モノであったと
気づく…




さぁ、 さてさてー
ご存じだろうが、 インドは暑い


停電すると、部屋の中は我慢できないくらい
気温があがった
そして都合の悪いことに
わたしは、ブルーシートの上に寝ていた


なぜか?
ベッドが湿りに湿って
シーツや枕が  カビ臭かったからである …
直に寝たら、ダニ氏に襲撃されるから
ブルーシートを敷いてその上に寝ていた


…  ベッドにブルーシート敷いて寝たこと、
 ある??  ない???
控え目に言って、地獄 保温効果抜群で
クッッッッッッッソ暑いdeathよ


ゆでダコ寸前のわたしは
部屋から這い出し、
必死の思いでテラスに出た
テラスはガンガーに直に面していて
涼やかな風が吹いていた




行き倒れのように  テラスに転がって

そして  いろんな事を、想った







わたしは、一体何をしているんだろう…?



病気で手術をする家族を日本へ置いて
そんな事をしてまで
わざわざ インドに来る必要があった?
インドくんだりまで来て
挙げ句このザマ
熱を出して倒れて  ぼろ雑巾のように
ガンガーの川べりに、転がってる
何をやってるんや …  情けない



インドへ来てから  抱えていた気持ち



家族に対する罪悪感、申し訳なさ
心配、不安、心細さ、淋しさ
日本に帰っても
家族が手術から無事に
帰って来ていなかったら?? 
どうするんだ…

家族の死に対する恐怖
 


押さえつけていたあらゆる感情が
堰を切って、溢れ出した

泣いたりなんか、した


ひとしきり泣きじゃくって
嗚咽がおさまってからも、
ネガティブな考えは止むことがなかった



このまま行き倒れて死んだら
死に1番近いガンガーで、かえって好都合
涅槃までどこでもドアやな  ( ← 意味


ぐるぐるぐるぐるぐるぐる… ∞
とめどないネガティブ思考のエレクトリカルパレードは、地球を3周は周りそうな勢いで
全く止まらない






ウジウジと、悩んでも仕方のない事を
とめどなく夢想した



そして、目の前で無慈悲にも
悠然と流れるガンガーを 
じーっと、 ひたすら 見つめ続けた



水面は穏やかで、日の光が反射して
キラキラと  美しく煌めいていた 
雨季だから、川底の流れは激しいはずだが
わたしの目には
それはとても、 穏やかに
優しいものに感じられた
 


人の苦悩や喜び、あらゆる生き物の死も
流れの中に抱き続けてきたであろう
このガンガー
悠久の時を超えて、全てを受け容れ続け
飲み込んでゆく
宇宙のような  この偉大な河


その ガンガーを  
ただ、 純粋に見つめ続けた





どれくらい、そうしていただろう





やがて、

一切の思考が止んだ






一切の感情も 思考も 
波立つことなく   フラットで



「わたし」という  自我さえ消えて




ただそこに ひとつの命が在る

それだけの   存在になった



 
瞑想の境地が訪れた









いったいどれくらいの時間が経ったのか

わからなかった


時間の感覚が、 消えていた



気づいたら、
日が落ちかけて  逢魔が時だった





1人でネガティブパレードを始めた時は
太陽がまだ東にあったから
相当な時間、ゾーンに入っていたのだと思う


熱で意識を失ったか、
寝てたのか??と考えたけど


意識は、ずっとあったし
五感も働いていたから
寝てはいない



不思議だった




人は1日のうち数万回思考をすると言われているが、わたしもご多分に漏れず、その脳からの電気信号に翻弄される人間の1人であった


頭の中のざわめきが止まず
心と体、意識が常にバラバラなまま
リラックスができていない
調和がとれず、故に、心身の一体感がなくて
ちぐはぐで、とても生き辛かった


それに … 
有り体に言えば 
女性らしくも、なかった …
頭でごちゃごちゃ考えて
頭でっかちなもんだから 
ほわんと、ゆるむことがなく


『 触れなば切れん! 』
という鋭さを、身から放ちこそすれ
ゆだねたり、安心したり、ほんわりと
『 ただ、女性らしく在る 』
ということができなかったし 
ゆるむという感覚が、正直分からなかった 



いつも周囲の人に
『 考えすぎやで… 』とたしなめられるほど
常に頭の中で要らぬ妄想を繰り広げては、
ムダなエネルギーを使い
勝手に疲れてしまうという …
心底もったいない人間だった 
ヨガをしてるくせに、
瞑想の練習も本当は大嫌いで 
興味もない





しかし、 その瞑想体験以来
あまりじたばたしなくなったのか
旅の間も、精神的にずっと安定していた
心や意識がどこかへ彷徨い出ていくことがなく
目の前に起こる出来事を、ただ純粋に堪能することができた


わたしが瞑想で知ったことは、



そこにただ、命がある という事実
それだけ        笑



そして普段無意識のうちに
『これこそが私』と感じている概念は
総じて、服のように付随して
身にまとっているものであったりする



それは、『わたしはこんな人間だ』という決め込みであったり、自分が所属するその国に、まことしなやかに存在する『常識』であったり、その他もろもろ、何やかやだ



瞑想って、ただ純粋に命というエネルギーが存在するだけ  


そしてその命に安寧していること
それだけだった

シンプルだった


それを、忘れないようにしたいと思った







家族の一大事という
バッドなタイミングでインドへ渡り
そうまでして旅に出たその意義を
わたし自身、見いだせなかったが


ひょっとすると
わたしは、もしかしたら
この瞑想を体験するためだけに、
インドへ来たのではないかとすら思った

この完璧なタイミングで
それだけを、知るために




ガンガーへ沈む太陽を眺めながら
『そうなのかもしれない…』
と、 ひとりごち
心の内側に生まれた 穏やかな安心感に
そっと手を合わせた
  




わたしは、普段水の都と呼ばれる都市に住んでいるのに  ( ←ヴェニスとかではない 
川に囲まれて育ち
川なら常に見ていたのに
赤道を越えてガンガーまで旅をしなければ、
熱を出して倒れるまで振り切らなければ
知り得ない世界があった
そうまでしないと、
わたしは自分自身の本質と
繋がることができなかった 


なんとも、業が深いなと  笑った





そしていつか、
この不思議な体験を
大切な誰かに シェアしようと誓う
伝えたいと思った


この体験談が、何かのきっかけで
誰かの役に立つかもしれないと思うから


わたしの  
思い出深い、この物語を 大切なあなたへ


あなたが
いかなる時も
あなた自身の本質と手を繋いで
人生を歩んでゆけますように



幸せで在りますように
祈りをこめて♡




 
~ 終 ~




あとがき

このインド記珍道中ですが、
嬉しいことに好評を頂いたので
続きます♪
番外編を書きたいと思いまーす♡

わたしも、書いてて楽しいっっ♪♡♡


《 番外編 》


インド最終章


だだだーっと、いきたいと思います
お楽しみにー♪(*˘︶˘人)♡*。+