ヘッドホンから流れるのは、ワーグナー/歌劇「タンホイザー」序曲だ。
食事を終え、コーヒータイムが終わり、皆眠りについた。
ときおり揺れるが、快適な空の旅だ。
「あゝ、神よ!」と叫びたくなるような一瞬である。
18才で受験戦争に敗れ、19才のとき親から離れ単身上京し、破れかぶれの人生がはじまって、
もう、50年以上のときが流れた。
とっくに、愛する祖母も父も母も今はいない。
父も母もいない世界なんて、想像もしなかった。
『フォーエバー殿堂』を一番喜んでくれるはずだったろうに。
ある意味、ぼくは本当に天涯孤独になったんだ。
注)ここまではタンホイザーを聞きながら読んでいただきたい。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲に移った。
あと、28年は生きよう!
生きることにチャレンジしよう!
あれっ?!
これは確か「ワルキューレ」だ。
そう、楽劇「ワルキューレ」ワルキューレの騎行。
シンクロニシティ!
これは29年前、「月収1000万円!」と叫んで、フォーエバービジネスに命がけでチャレンジした頃のお気に入りの曲だった!
車に乗り、「ワルキューレ」のCDをセットし、大音量にし、エンジンをかけ、
さあ、スポンサー活動&応援だっ!
が、ぼくの日課だった。
注)ここまでは、ワルキューレを聞きながら読んでもらいたい。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
曲が変わった。
再び、「タンホイザー」だ!
何と、幸せ!
歓喜だ!
夢のひとときだ!
これからの28年間は、父と母に捧げられる人生にしてみせる。
ぼくはもともと、何の趣味もない男だ。
縁あって、この世に産み落としてくれた愛する両親に感謝を捧げよう!
その感謝のために、与えられた28年を使おう!
何の悔いもない!
両親が喜ぶことは知っている。
それは、
人のためになることだ。
人を助けるために生きることだ!
ぼくのことばなのか?!
ワーグナーが言わせているのか?!
酔いしれるような、
機上の、
永遠の時間だ!
注)再度、タンホイザーを聞きながら読んでいただきたい。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
あと、3時間半ほどでホノルルだ。
少し寝よう。
グッ ナイ
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