結局、何でもデキマス。
NHKニュースより。
グループホーム
運営会社が脱税か
認知症のお年寄りが暮らすグループホームを運営する千葉県の会社が、管理を任されていた入所者の口座から引き出した入居費などについて税務申告を行わず、およそ6500万円を脱税した疑いで東京国税局から告発されました。
告発されたのは千葉県松戸市の「アートアシスト」と先達徳男社長(69)、それに先達社長が理事長を務める「NPO法人なかよしネット遊歩」です。
関係者によりますと先達社長は、東京と千葉で認知症のお年寄りが暮らすグループホームを5か所運営し、あわせて70人ほどから入居費として毎月10万円から14万円を受け取っていたということです。
しかし、税務申告の際、振込など会社の口座に記録が残る形で受け取った場合は適正に処理していましたが、現金で入った入居費は収入として申告せず、所得を少なく見せかけた疑いが持たれています。
この施設では、一部の入所者について家族の同意を受けて口座を管理していて、こうした口座から引き出した入居費について、申告していなかったとみられています。
このほか生活保護を受けている入所者は、行政から現金書留で送られた生活保護費を入居費にあてていましたが、これも隠蔽していたということです。
東京国税局査察部は、平成30年までの3年間におよそ2億7000万円の所得を隠し、法人税およそ6500万円を脱税したとして、千葉地方検察庁に告発しました。
先達社長は修正申告し、納税を済ませたとしています。
【社長会見「現金6億円を寝室の段ボールに」】
脱税の疑いで告発された先達社長は記者会見し、脱税したことを認めて陳謝しました。
先達社長は24日、東京・新宿区で弁護士とともに記者会見し、脱税したことを認めたうえで、「悪いことをやっているという認識はあったが、人に言うことが怖くなり続けてしまった。深くお詫び申し上げます」と述べ、陳謝しました。
受け取った入居費用は規定通りの金額で、横領などはしていないとしています。
脱税は10年ほど前から始め、脱税で得た資金4億円と投資の利益などの2億円、あわせて6億円を現金で寝室の段ボールに入れて保管していたということで、動機については、災害など何かが起きたときに備えたいと思ったと説明していました。
【認知症高齢者の財産管理の現状は】
お年寄りの財産管理などに詳しい東洋大学の高野龍昭准教授によりますと、認知症のお年寄りの財産を管理する制度には弁護士や司法書士などに任せる成年後見制度などがありますが、手続きが煩雑で費用もかかるため、家族が福祉施設などに管理を委ねる例が多いということです。
こうした実態について、高野准教授は「成年後見制度を利用できず、やむをえず施設に管理してもらうというケースがほとんどだ。こうした対応は明らかな違法とは言えないグレーゾーンとなっている。しかし施設任せになってしまうと目が届かなくなり、残念ながら犯罪の温床となってしまっている」と指摘しています。
そのうえで「成年後見制度などの手続きを簡素化し、利用を広めていくことが求められるとともに、やむをえず施設に任せるとなった場合、家族は情報をしっかり集め、安心して財産管理を任せられるような施設を選んでほしい。施設側は誰か1人に管理を任せないなど不正を許さない体制を作り、コンプライアンスの徹底に努めるべきだ」と話しています。