高齢化する職場 労災どう防ぐ  | フレイルも認知症も減らない日本

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Nobody is in possession of the ultimate truth.

ウイルスと戦争の世紀で人生を終えることになるとは・・・まさに第三次世界大戦前夜の状況ですからね しかも本日は日本の金融市場はトリプル安

70代でも
仕事をされている患者さんは
沢山いらっしゃいます。


しっかりとされた方々ばかり。


転倒対策も含めて、
高齢者の運動機能を
如何に維持するか。

そればかりですね、
してきたことは。






朝日新聞より。




高齢化する職場、
労災どう防ぐ 
思わず叫ぶ
疑似体験も



 建設現場や工場、スーパーでは人手不足による働き手の高齢化が進み、転倒や転落といった労働災害をどう防ぐかが課題になっています。

どう予兆を見つけるのか。

どうすれば「私は大丈夫」という過信に陥らずにすむのか。対策に取り組む企業の現場を訪ねました。

 JFEスチール西日本製鉄所の倉敷地区(岡山県)では、2004年から全従業員に独自の体力テストを実施している。階段が入り組み、薄暗い場所もある製鉄所内で、安全に作業できるかを調べるためだ。

 A3の画板にペットボトルをのせて両手で持つと足元を見られない。この状態で幅10センチ、高さ5センチの平均台を5メートル歩けるか、座った状態から片足で立てるかなどを試す。

 5段階評価で「3」以上なら合格だ。

「1」になると転倒リスクが高いとして運動指導を受ける。改善がみられないと、産業医の面談を経て、仕事の一部が制限されることがある。

 安全健康室の藤岡俊彦さん(62)は設備や作業の安全性をチェックするため、製鉄所内をパトロールする。直近のテストは「4」だったが、若い頃と比べると衰えを感じることもある。「暗さに慣れるのに時間がかかり、つまずくことが増えた気がします」

 16年からは、新しいテストを試験的に始めた。

横浜国立大学の島圭介准教授や県立広島大学の島谷康司教授が開発した。

 島准教授によると、人は姿勢を保つために複数の感覚を使う。例えば、暗い場所では視覚に頼れない。体の傾きを把握する感覚、皮膚や筋肉を通じて手すりを認識する感覚など、状況によって頼る感覚を切り替える。切り替えがうまくできないと転びやすくなる。

 新テストはこの切り替えの柔軟性を評価する。

体の重心を測るセンサーつきの台に立ち、手すりに触ったような刺激を得られる機器を指先につける。刺激を与え、目を閉じた状態で刺激を消す。その時のふらつきを測れば、転倒を避ける力の「立位年齢」がわかるのだという。

 16年以降、新テストを受けた約230人のうち65人が、従来のテストでは問題なかったのに「立位年齢」が実年齢より高く出た。

この結果だけで就業制限はしない。

データを蓄積し、従来のテストと組み合わせることで、より詳しい転倒リスクの評価を目指す。ヘルスサポートセンターの乍(ながら)智之さんは「個々に応じた効果的な運動指導に生かせる」と期待する。



🔵高さ63メートルを疑似体験



    プラント建設を手がける明電舎(東京都)は16年から、労災予防にVR(仮想現実)体験のプログラムを採り入れた。

自社の研修に生かすだけでなく、他の企業に販売もしている。

 高い所からの墜落や、溶接作業のやけどにつながるような危険な職場環境は、従来の研修では再現できなかった。

その怖さを疑似体験してもらうのが狙いだ。


 首都高速道路(東京都)が5月に実施した研修には、首都高や関連会社で働く約30人が参加した。

記者も体験させてもらった。

 会場には、高さ数センチの足場がある。

手すりもあり、そのまま歩くのはわけない。

 だが、専用ゴーグルをつけたとたん、360度の視界が二つのビルをつなぐ高さ63メートルの足場の映像になる。

足を踏み外せば硬い道路に真っ逆さまに落ちるような錯覚に陥る。一歩踏み出すのも怖い。扇風機が高所の風も再現し、臨場感がすさまじい。

 参加者の中には、怖さのあまり叫び、途中でゴーグルを取ってリタイアする人もいた。

高速道路の補修計画を立てる部署の女性(42)は「高所では安全帯(命綱)が着用できているかをしっかり確認したい」と話した。

 明電舎の担当者は「VRだけだとアトラクション感覚だけで終わってしまう」といい、VR研修だけを実施することはない。

疑似体験の感覚が生々しく残るうちに、安全帯の正しい装着方法などを学ぶ研修も同時に実施している。



🔵転倒、50代以上が68% 
18年の労災認定



 厚生労働省によると、18年に労災認定された死傷者約12万7千人のうち、最も多かったのは「転倒」(3万1833人)で、「墜落・転落」(2万1221人)が続いた。

「転倒」は50代以上が68%を占めていた。

 労災に詳しい大原記念労働科学研究所の永田久雄・客員研究員によると、転倒が起こりやすい要因は、加齢による筋力や骨の衰えばかりではない。

バランス感覚、予防知識の無さ、ハイヒールやパンプスのようなかかとの高い靴など、多くの要素がからむ。

 体力を維持するために「転倒予防体操」を導入する企業も多いが、永田さんは「それだけでは不十分」と指摘する。「1メートルの高さから硬い床に頭を打ちつければ頭蓋骨(ずがいこつ)が砕ける可能性があり、『一命取る(1メートル)』とも言われる。『私は大丈夫』と過信する人に、体の衰えや予防の大事さをどう意識させるかが重要だ」という。