メディカルトリビューンより。
MSの脱髄性視神経症
に
クレマスチンが有効
多発性硬化症(MS)患者の
脱髄性視神経症の治療に、
第一世代抗ヒスタミン薬の
クレマスチンフマル酸塩
(クレマスチン)
が有効である
ことを示唆する試験結果が、
米国のグループにより
ランセットに発表された。
MSは、
免疫系を介する
ミエリンの破壊
と
進行性の神経軸索損失
を特徴とする
中枢神経系(CNS)の
炎症性変性疾患である。
CNSにおける
ミエリンの形成には
オリゴデンドロサイト
細胞膜の伸長が必須で、
クレマスチンが
オリゴデンドロサイト
前駆細胞の分化を刺激
することが
in vitro、
動物モデル、
ヒト細胞で示されている。
同グループは、
MSに対するクレマスチンの有効性
と安全性を検討する
単施設での
ランダム化クロスオーバー試験
を実施した。
対象は免疫調整療法を
受けている
慢性脱髄性視神経症を伴う
再発MS患者で、
診断から15年未満
を適格基準とした。
登録した50例を2群に分け、
一方には
クレマスチン
(5.36mg×1日2回経口投与)
を90日間投与後に
プラセボを60日間投与、
もう一方には
プラセボを90日間投与後に
クレマスチンを60日間投与した。
主要評価項目は、
全視野パターン反転刺激による
P100潜時遅延の短縮とした。
全例が試験を完遂した。
クロスオーバー試験として解析した結果、
クレマスチン投与により
P100潜時遅延の
1.7ミリ秒/眼
(95%CI 0.5~2.9ミリ秒/眼、
P=0.0048)
の短縮が認められ、
主要有効性エンドポイント
が達成された。
クレマスチンの使用は
疲労と関連していたが、
重篤な有害事象はなかった。
同グループは
「この結果から、
ミエリンの修復は
長期にわたる損傷後も
達成可能であることが示唆された」
としている。