「認知症の人と家族の会」は
拙著208ページでも
取り上げています。
健康な人が患者のことを
理解するのは
容易じゃありませんね。
産経ニュースより。
ADI国際会議が
教えてくれたこと
ADI(国際アルツハイマー病協会)と「認知症の人と家族の会」が共催して4月27~29日、国立京都国際会館(京都市左京区)で開いた国際会議が終了しました。
参加者は、海外の70数カ国からの800人を含む約4千人。連日報道され、私の着物姿での開会挨拶を見てくれた人もいるかもしれません。
《京でADI国際会議開会 認知症本人意思を重視 当事者登壇「支援で自立」》。
27日の夕刊1面トップで報じた地元紙の見出しです。これに象徴されるように、今回の会議では認知症の本人の発言が目立ちました。
「サポートしてくれるさまざまな人と出会い、不安が解消された」「自己決定して自分らしい生活を送ることが大切だ」「認知症は不便であっても不幸ではない」「まわりに頼り切りの人生は嫌だ。何もかもできなくなるのではない」などなど。
これらの発言は偏見を打ち破り、認知症の人は何もできない、分からない人ではなく、それぞれが意思を持ちそれぞれの人生を生きたいと願っている人たちであることを世間に伝えてくれました。
国際会議のとても大きな効果です。
しかし、私は「家族の会」のある支部世話人の「すごく違和感を覚え、重い気持ちで京都を離れました」という言葉も真実だと思っています。その人は言います。
「周りが明るく捉えれば捉えるほど、余計に辛くなる人もいます。苦しみの介護を続けている人もいるのです」と。
認知症は次第に進む病気です。
かつては重度になってからしか診断されませんでしたが、診断技術が進み、今や認知症ではない段階(MCI=軽度認知障害)でさえ診断される時代です。
認知症という病気の幅の広さと、一部だけを見ていてはいけないということも教えてくれた国際会議でした。
たかみ・くにお 昭和18年生まれ。京都府職員だった28歳のころ養母の認知症が始まり、55年に京都市で「呆け老人をかかえる家族の会」(現・認知症の人と家族の会)を設立。代表理事を務める。同会は47都道府県に支部があり、1万1千人の会員がいる。
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「認知症の人と家族の会」への電話相談は、平日午前10時~午後3時、フリーダイヤル0120・294・456。