「銀行解体論」価値破壊経営の米銀大手  | フレイルも認知症も減らない日本

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Nobody is in possession of the ultimate truth.

ウイルスと戦争の世紀で人生を終えることになるとは・・・まさに第三次世界大戦前夜の状況ですからね しかも本日は日本の金融市場はトリプル安

さて、
国内大手金融機関の
今後の再編は❓


 産経ニュースより。


台頭する
「銀行解体論」 

「価値破壊経営」
の米銀大手 


米バード大経済研究所は毎年4月、20世紀に活躍した経済学者ハイマン・ミンスキー氏の名前を冠した泊まり込みの研究会を主催する。

キョロキョロバード大学は難関リベラルアーツ

ミンスキー氏は「ポスト・ケインジアン」と呼ばれ、政府による市場介入による効果を認める学派の代表選手だった。

ミンスキー氏の名はウォール街でもおなじみで、景気循環のように市場にも信用取引発の循環的な変動があるとした。

投資家が借り入れによる投機を重ねた結果、投げ売りが投げ売りを呼ぶバブル崩壊の極みは「ミンスキー・モーメント」と呼ばれている。

ミンスキー氏の研究は、銀行の連鎖破綻という信用不安の防止を主眼に置いた政策、「マクロ・プルーデンス」の必要性を説く土台の一つでもある。

「乱高下する市場を相手にする金融機関の業務・財務リスクを当局は監督すべき」という理念につながる。

今年のミンスキー研究会では金融行政について一歩踏み込んだ意見が出た。「銀行解体論」である。

米国を代表するエコノミスト、ヘンリー・カウフマン博士らが「個人向け、運用、投資銀行などに分けるべきだ」と主張した。


米国では、大恐慌を引き起こした反省から銀行、証券、保険の分離を定めたグラス・スティーガル法が長らく存在したが、同法を撤廃するグラム・リーチ・ブライリー法が1999年に施行され、金融機関の総合化が加速した。

21世紀に入ると、収益源である長短金利差が縮小し、伝統的な預貸業務や引き受け業務の収益性が落ちた。

米銀は仲介者から、自らキャピタルゲインを狙うファンドのような経営モデルになったが、不動産を証券化した商品を抱え込んで大穴を空けた。これが、2008~09年に起きた金融危機の本質である。

10年に制定した金融制度改革法は、金融安定監視会議(FSOC)と呼ばれる総合的な監督者、自己取引を規制した「ボルカー・ルール」、信用不安を避けつつも金融機関を粛々と清算する「リビング・ウィル」などを盛り込み、「マクロ・プルーデンス」の理念を反映した。

「銀行の巨大化に合った監督体制がなかった反省」(カウフマン博士)を生かした。


だが、11年の欧州危機、年初のエネルギー危機と、またもや金融機関を介して信用不安が生じる懸念が出た。だからこそ、ミンスキー研究会にて「金融機関は潰すにはまだ大き過ぎる」という見方が台頭したのだ。

「銀行解体論」は当局にも支持者がいる。急先鋒(せんぽう)はミネアポリス地区連銀のニール・カシュカリ総裁。2月、「大手銀相互のつながりを薄め、実体が小さくなる」まで分割するよう米議会に求めた。

カシュカリ総裁は不良資産救済プログラム(TARP)の責任者で、銀行の財務状況を熟知している。将来の金融危機で大手銀が破綻すれば、「(リーマン・ショックのような信用不安を防ぐために)金融制度改革法の手続きは十分でない」(カシュカリ総裁)とみる。

株主は総じて、「銀行解体論」を歓迎する。金融危機以降、銀行株が低位で取引されているからだ。

JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ(BAC)など大手銀6行からなる株価指数(時価総額で加重平均)を合成し、時価総額が帳簿上の株主資本の何倍で取引されているかを示す株価純資産倍率(PBR)の過去5年分の推移=グラフ=を見てみると、帳簿価格とほぼ同じ1倍前後で推移している。

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代表的な株価指数であるS&P500種とのPBR格差を比較すると、欧州危機がピークだった11年の1・3~1・4から拡大の一途で、最近は1・9~2・0の水準に達した。市場全体と比較しても大手銀は低い水準の評価だ。

例えば、BACのPBRは0・7倍弱。銀行を解散したら、株主は現在の価値の70%しかお金が返ってこない。これは「将来にわたって赤字を垂れ流す」と市場が見透かしているためである。

PBRの1倍割れは、企業価値が破壊されている証拠。普通なら、株主からの突き上げで業務内容や資本構成の改善に迫られる。だが、米銀大手は「金融システム上重要な金融機関」として金融制度改革法や規制でがんじがらめにあり、身動きが取れない。

価値破壊が放置されている企業の非効率経営は、「バリュー・トラップ(価値のわな)」と呼ばれる。自力では「わな」から脱出できないので、外科手術のように会社分割するのが効果的だ。

もはや異端ではない。

「銀行解体論」は、
立派な政策論に育った。