スタッフの皆さんの
優しさが伝わってきますね。
一刻も早い、
臨床医学の進歩が望まれます。
東京新聞より。
ユアハウスだより
普段着の認知症介護
新しい場所 変化に寄り添って
八十五歳の小山さん(仮名・女性)
は一人暮らし。
関西に住む親類の山田さん(同)と成年後見人の弁護士が、金銭管理や役所との窓口役をしています。
認知症も進行しており、要介護1。
三カ月前、担当のケアマネジャーから「ユアハウスの利用を検討したい」と相談があり、私たちとの関わりが始まりました。
当時は一日一回、ヘルパーが自宅を訪問して服薬とお財布の残金確認、簡単な掃除をしていたほか、月一回、病院への通院に同行。
アパート二階の部屋にはお風呂がなく、小山さんはほぼ毎日、一人で銭湯へ通っており、そのことを心配した山田さんが、ケアマネジャーに相談したのです。
施設への入所も考える山田さんに、ケアマネジャーは「一人で買い物や銭湯に行ける小山さんは、まだまだ在宅生活が続けられる」と、小規模多機能型居宅介護の利用を提案。
上京した山田さんたちとユアハウスを見学に訪れ、利用についてはあらためて連絡をもらうことになりました。
その二週間後、状況が大きく変わりました。銭湯の脱衣所でお弁当を食べるなどのトラブルを起こしてしまった小山さんは、もう来ないでほしいと言われたのです。
ケアマネジャーからの依頼で、
すぐにユアハウスに利用登録。
支援をスタートしました。
小山さんは銭湯への行き帰りに食事の買い物をしていましたが、これからは銭湯には行かないため、できなくなります。
自宅に来るスタッフも前とは変わります。
その変化をどう受け止めてもらおうか? 悩みましたが、初めてお会いした時、私は「銭湯に行けなくなったので、今後はユアハウスで入浴することになりました」と、原因も含めて正直にお話をしました。
「どうして行っちゃいけないのかしら?」と怒りや困惑を口にする小山さん。
それでも引き続き、それまでと同様に訪問と通院のサービスが始まりました。
ただ違ったのは、訪問したスタッフが毎回「一緒にユアハウスへ行きませんか? みんな待っています」と、声を掛けるようにしたことでした。
小山さんは「銭湯に行っているから、いいわ」と断ることもありましたが、来所した日は必ず、同じ道をスタッフと行き帰り。
そのたびにスタッフは「この道を来ればユアハウスです。何か困ったことがあったらユアハウスへ来てくださいね」と伝えました。
その約一カ月後。
スタッフが「さっき小山さん一人で来てくれましたよ!」と私に報告してくれました。
リビングルームでくつろぐ小山さん。
「ここにいれば何となく安心ね」と
笑顔で話してくれました。
それから約一カ月がたちますが、小山さんが一人で来所したのは、その一回きり。
ユアハウスに来ても入浴しないで帰ってしまったり、一人で銭湯に行ってスタッフが迎えにいったりしたこともあります。
でもスタッフとユアハウスに来れば、他の利用者さんと一緒に買い物や調理、外出をして日々過ごしています。
すてきな笑顔を見せてくれる小山さんが、できる限り長く自宅で暮らせるよう支援していきたい。
私たちと小山さんの長い関わりは
始まったばかりです。