第27話「本能寺の変」7月12日

1.信澄(緒形敦)は光秀(要潤)に信長(小栗旬)への積年の思いを打ち明ける。光秀は驚愕しつつも、表沙汰にしないことを決める。一方、備中で毛利攻めの任にあたる秀吉(池松壮亮)は、戦の総仕上げのため信長を連れてくるよう小一郎(仲野太賀)に依頼する。折しも安土城では信長が家康(松下洸平)を接待していたが、食事に毒が盛られていたことが発覚。饗応役の光秀が首謀者をかばっていると察した信長は逆上する。

 

2.前半最大のクライマックスを迎える。織田信長(小栗旬)は戦国最強と謳われた甲斐武田氏を滅亡に追い込み、三男・織田信孝(結木滉星)に四国攻めを命じる。一方、備中で毛利攻めの任にあたる羽柴秀吉(池松壮亮)は戦の総仕上げのため、信長を連れてくるよう羽柴小一郎(仲野太賀)に要請。小一郎は遠路はるばる安土へ向かう。.折しも、安土城で徳川家康(松下洸平)を接待していた信長だが、食事に毒が盛られたことが発覚。饗応役の明智光秀(要潤)が首謀者をかばっていると察して逆上。八津弘幸氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ通算65作目。“天下一の補佐役”豊臣秀長を主人公に、豊臣兄弟の絆と奇跡の下克上を描く。兄・豊臣秀吉役は俳優の池松壮亮が演じる。

 

3.小栗の大河出演は、鎌倉幕府2代執権・北条義時役で初主演を務めた2022年「鎌倉殿の13人」、高僧・南光坊天海に扮した23年「どうする家康」に続き、ここ5年で3回とハイペース。節目の10回目を数え、大河ファンの心をわしづかみにし続けている。数多の名優が演じてきた織田信長。今作は「天下一統を狙う孤高のカリスマ」というキャラクター設定で「豊臣兄弟と織田兄妹の対比、信長の孤独を描くのが、この作品ならではの視点」「信長の心に踏み込めるのは市(宮崎あおい)だけ」と敢えて正室・濃姫(帰蝶)は登場させず。リーダーとしての威厳は当然のことながら、弟・織田信勝(中沢元紀)討ちのトラウマに苛まれる姿も。小栗が血の通った信長像を体現している。

 

4.「光秀単独犯説(野望説・怨恨説・義憤説・複合説ほか)」「黒幕存在説(朝廷・足利義昭・羽柴秀吉・徳川家康ほか)」など諸説あり、その真相は謎に包まれる「本能寺の変」。近年の大河においても、作品毎の解釈で描かれてきた。

 <16年「真田丸」>織田信長(吉田鋼太郎)&明智光秀(岩下尚史)=第4回「挑戦」(1月31日)語り・有働由美子アナウンサーによる“ナレ死”「天下統一を目前に、織田信長が死んだ」が話題に。

 <20年「麒麟がくる」>織田信長(染谷将太)&明智光秀(長谷川博己)=最終回(第44回)「本能寺の変」(21年2月7日)足利義昭(滝藤賢一)正親町天皇(坂東玉三郎)らの思いを胸に、主人公・光秀が本能寺へ向かう。

 <23年「どうする家康」>織田信長(岡田准一)&明智光秀(酒向芳)=第28回「本能寺の変」(7月28日)主人公・徳川家康(松本潤)と信長の“ブロマンス”(男性同士の絆)が主軸に。

 

5.「豊臣兄弟!」第26回(7月5日)のラストは、信長の甥(信勝の長男)・織田信澄(緒形敦)が「黒幕?」とSNS上も騒然。小栗も「結局、信長が弟の信勝を謀殺したことが発端になっているわけで。甥の信澄が絡んでくるのは僕も新鮮なストーリーで、かつ兄弟の形を描いてきた『豊臣兄弟!』ならではの展開だなと思いました」と最初に脚本を読んだ際の印象。大河3年ぶりとなる「本能寺の変」。“小栗信長”はどのように討たれるのか。今作の信長像を踏まえた小栗の捉え方はこうだ。「信長がイメージしていた“新しき世”は、世界と貿易できる経済大国。でも、同じビジョンを持てる人間があまりに少なかったので、戦って蹴散らすしか選択肢がない。結果的に“破壊神”のような存在にならざるを得なかった。それでも、秀吉は“上様とともに新しき世をつくり、皆を喜ばせたい”(第26回)と離れていかない。信長にとっては、己がブレないための最後の指針、己の夢を忘れないための光のような存在だったんじゃないでしょうか」

 

6.「織田信長という人が、なぜこんなに僕たちを魅了するのか。この間、池松くんと“信長は破壊神”という話をしていたら“Generate(創造)・Operate(維持)・Destroy(破壊)”の頭文字を並べると“GOD(神)”になる。世界は創造→維持→破壊で成り立っていて、信長の破壊、秀吉の創造、家康の維持も当てはまるんじゃないか。昔から一番人気があるのは破壊神だと知って、非常に腑に落ちました。やっぱり人間というものは、自分にはできないことに挑んでいる人に憧れるんだな、と」

 「信長は老臣を追放して(第25回・6月28日)己も引退しようと考えましたが、なら誰に、破壊した後の創造や維持を託すことができるのか。2人きりで対話した秀吉から“上様とともに新しき世をつくり、皆を喜ばせたい”(第26回)と聞いた時、信長がこれまで無理難題を押しつけてきたのに、そう言える彼になら任すことができる。そういう次元にたどり着くことができたので、今回創り上げてきた信長像としては一本、筋が通ったと感じています」

 「信勝、浅井長政(中島歩)、松永久秀(竹中直人)、荒木村重(トータス松本)と裏切られて…。(朝倉討伐の際に)長政には“(浅井は近江を)動かず(我らの後方の)守りに努めよ”(第13回・4月5日)と伝えていますし、久秀は2回許しているんですよね。相手に然るべき言い分と交渉材料があれば、信長は大目に見る人だったという気はしています。そうやって疑心暗鬼になる中で、裏切らない秀吉と兄弟だったら、信長の人生も違っていたかもしれない、と頭をよぎる瞬間もありました。そういう意味で、もし本能寺で秀吉に討たれたのなら、信長にとっては一番いい幕引きになったと思います」

 第27回は一部、ロケ(オープンセット)で撮影。「非常に光栄に思います。本物の火に囲まれているので、画の迫力が全く違いますよね」と手応えを示した

 大河ドラマ史はもちろん、エンターテインメント史に残る“新伝説の本能寺の変”になりそうだ。