道
わたしの前にレールが敷いてあった。
しかしわたしは、いつのまにかそのレールからは外れてしまっていた。
しかし、その敷かれたレールの先には奈落があった。
わたしの前に、いつのまにか新しいレールが敷かれていた。
わたしは、その敷かれたレールを辿りながら進んだ。
その先には、奈落があった。
わたしは、奈落の底にいた。
そこにもまだレールは敷かれていた。
わたしがその敷かれたレールを辿りながら進むと、周りには、いろんな景色が見えた。
自分が勤めている会社で、昇進していく姿や、
自分を好きになった女性から、告白されている姿、
自分が勤めている会社で、大抜擢されて、出世していく姿。
どれも、羨ましい姿だったが、それは、自分では無かった。
自分は、今ここにいる。
まだまだ、迷いがあってレールが無いと進むこともできない。
なのに、景色は変わっていく。
しかしわたしは、気づいた。
どの姿の自分も、自分の顔に笑みは無かった。
どの姿の自分も、押しつけられた幸せだった。
いや、全然幸せそうには見えなかった。
いや、全然楽しそうには見えなかった。
心は、そこにはもう無かった。
ある時、わたしは、進んで来た後ろを見てみた、そこには、道が出来ていた。
そうか、これがわたしの辿って来た証なのかと。
わたしは、気付くことが出来た。
そして、その道が、人の数だけあることも分かった。
その瞬間、わたしの前から、レールは消えた。
今わたしは、誰かの道と伴走しているようだ。
二人が一緒に生きた道を証している。