細胞 上・下巻 シッダルタ・ムカジー 1  | エルヴィス・プラス

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1月に早川書房から刊行された腫瘍内科医の新作。
著者は「がんー4000年の歴史」を2010年に発表
この作品でピュリッツァー賞を受賞。

細胞についての本?
今さら細胞といわれてもと首をかしげた。
すでに細胞については多くの本が出版されている。

しかし、「がんー4000年の歴史」は傑作!
普通の解説本であるはずがない。


 

実際その通りで「序文」の内容で興味をそそられた。

序文は
二人の患者のエピソードから始まる。
一人の患者は悪性黒色腫、進行が驚くほど早く
診断一年後に死亡。もう一人の患者は
急性リンパ性白血病(ALL)、主に小児が罹患。
進行の早いがんとして知られている。
治療により90%が完治。この患者は残り10%
完治しない側だった。
二人の患者に施されたのはまだ新しい細胞工学
による細胞医療。
一人は亡くなり、一人は寛解から完治へと向かった。
この謎は細胞について決定的な理解を
欠いていることだった。
では細胞とは何なのだろう。

 

序文には病理学者ルドルフ・ウィルヒョウの
言葉が載っています。
「われわれは必ず細胞に戻ることになる」
ルドルフ・ウィルヒョウ 1821-1902年  


改めて細胞について語るこの本は
細胞の歴史を年代順に語る方式をとらず
「発見」「血液」「器官」「再生」等の項目
に分け各章で細胞治療の誕生までを語ります。