今高等学校で教えられている英語の文法のことを,規範英文法といいます。


 規範英文法は,動詞を文のの要素に分解し,文の形を識別することから始まります。


 第1文型:SV

 第2文型:SVC

 第3文型:SVO

 第4文型:SVOO

 第5文型:SVOC


 第1文型の文は,SとVだけで意味が通る文といわれています。


 ですが,本当にそうなのかというと,全然そんなことはありません


 学習参考書の第1文型の説明を見てみてください。SVだけで意味が通るが,実際には修飾語句(M)がつくことが多いと書いてあります。つまり,逆をいえば,SVだけでは意味が通じないから,Mがいていると考えるのが妥当でしょう。


 ないと意味が通らないということは,それはもう立派に必要な情報ということになります。それを文の要素から外して考えること自体に無理があるのです。


 よく載っている例文は,


 1:A bird flies.(鳥は飛ぶ)


 実際にこんなことは言いません。これはすごく危険な文章です。


 まず主語の位置に,「何だかよくわからないが,鳥というものがいて,そいつは飛ぶものだと思っている」という不思議な意味になります(何故そんな意味になるのかは,「冠詞」の項目で説明します)。


 2:The bird flied from the north to the south.(その鳥は北から南へ飛んでいった)


 これなら意味は通じるでしょう。

 

 つまり,1の文は,「鳥が飛ぶ」はいいとしても,どこへとか,どのようにとか,何の理由でとか,そういう重要な情報が欠損している不完全な文だということになります。


 お互いに共有している情報や状況があって,それが欠落することがあります。例えばこんな会話があったとします。


 3a:Who kicked this ball into my classroom?(このボールを教室に蹴りこんだ奴は誰だ?)

 3b:I did.(僕がやりました)


 3bは確かに,SとVだけでできていますが,この会話の流れがあって初めて,成立している文章です。代動詞のdoが3aの下線部の意味を全部言い表していて,わざわざ言う必要がないからです。


 ただ,何もわからないところでいきなり,「I did.」と言われても,何のことだかわかりませんし,自分に対して言われているとは思わないのではないでしょうか?


 こうしたことから,


 動詞の文型の分類を改めた人がいました。


 1:SV

 2:SVM

 3:SVC

 4:SVO

 5:SVOM

 6:SVOO

 7:SVOC


 つまり,まあ,SVという文は確かにあるが,実際問題としてはそれだけでは意味がわからないから,M(副詞相当語句)も文の要素として考えたほうがいいんじゃないのか? という考え方です。


 これは当時としては画期的な提唱でしたが,動詞が続く語句にどういう情報を要求するか,伝えたい内容がどのように違うかによって,文の種類はいくらにでも分類できるということになります。


 そんなわけで,コンテクスト(文脈)を無視した文型学習はあまり意味がなく,英語の文というのはSVの後に,話し手が伝えたい情報が続くと考えるのが正しいことになります。


 実際7文型というのを知っている人は少ないですから,やはりオーソドックスな5文型による分類法というのをせざるをえないのですが,まず,基本的な考え方は,


 「英語はSVの後に何かが続く,『SV+α』という語順で成立している言語である」


 ということにしておきましょう。それは絶対そうだと言い切れることだからです。そのαは,補語,目的語,副詞相当語句の3つに分類することができます。それらの違いについて,これから説明していきたいと思います。