装置の小型化は、とどまることを知りません。
今回もそれを可能にする研究を紹介します。
世界最小のインバータ 太陽光発電など普及に弾み NEDOが開発
http://jp.wsj.com/IT/node_298887
2011.9.6 15:43
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は6日、世界最小のインバーター(電力制御装置)の開発に成功した、と発表した。
通電や絶縁に優れたシリコンカーバイド(炭化ケイ素)を半導体に使うことで、現在普及しているタイプより大きさを25分の1程度に小型化できる。
太陽電池で発電した直流電力を屋根の上で家庭向けの交流電力に変換するなど、次世代の電力設備に幅広く応用されると期待されている。
同機構から研究委託を受けた日産自動車や東芝などのチームが実証機を作成。
小ぶりの弁当箱程度の500立方センチメートルの容量で、一般家庭の使用電力5軒分に相当する15キロワットを変換し、モーターを連続動作できることを確認した。
現在、広く使われているシリコン製半導体のインバーターは、100度程度の高温にしか対応できず大型の冷却装置が必要。
だが、炭化ケイ素を使うことで200度にまで対応できることなどから小型化が実現した。
小型化により同一性能のインバーター価格は数分の1程度に低下し、電気を動力に変えるエネルギー効率も60%から90%に高まるため、普及が進めば大幅な省エネにつながる。
NEDOでは、「2018年ごろには、この技術を採用したインバーターがメーカーに採用されることも可能」として、コスト低減などの技術開発を今後も進めていく。
8月4日(木曜日)付 日刊工業新聞 14面 広告特集から
コンデンサーは電子機器の高機能化に伴い、小型・大容量化、長寿命化などが求められている。
パソコンや携帯電話、薄型テレビ、自動車をはじめ、最近では太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーなど多くの用途で利用されている。
電子部品メーカーだけでなく、素材メーカーも材料供給にとどまらず最終製品を市場投入することで、コンデンサー開発競争が活発化している。
今後、さらに機器の高性能化や環境負荷低減の実現に向けた製品・技術開発が進むことで、コンデンサーに対する信頼性が増す。
再生エネなど広がる用途
電子情報技術産業協会(JEITA)の電子部品グローバル出荷統計によると、2011年4月のコンデンサー出荷額は638億円で前年同月比4%減となった。
08年秋のリーマン・ショックが引き起こした世界的規模の経済収縮から抜け出すとともに、コンデンサー市場も徐々に回復していった。
ところが、3月の東日本大震災により工場が被災し、メーカーの生産量が低迷し、4月も震災による出荷量の減少が続いた影響で、再び落ち込みを見せた。
現在、生産回復が遅れていた自動車などは持ち直しを始めていることから、コンデンサーの需要も少しずつ増加する見方が強まっている。
コンデンサーは電荷を蓄える部品であり、直流は遮断し、交流に対しては周波数により抵抗値の変わる機能を持っている。
基本構造は誘電体とその表裏に配置された電極で構成される。電極の両端に直流電圧をかけると、誘電体が分離し、それぞれの電極に電荷が蓄えられる仕組みになっている。
しかし、誘電体の材質によって特性だけでなくサイズも変わってくることから、それぞれの用途に応じた誘電体を選択しなければならない。
セラミックコンデンサーは電極間の誘電体として使用するチタン酸バリウム(BaTiO3)や酸化チタン(TiO2)などにより、積層型、単板型の構造を取る。
そのうち積層セラミックコンデンサーは等価直列抵抗(ESR)が低いほか、高周波特性に優れている。液晶テレビやスマートフォンなど多くの電子機器に搭載され、電気を蓄えるほか、ノイズ除去に大きく貢献する。
また、自動車や民生機器などの省スペース化や小型化に対応するため、コンデンサーも小型化が求められている。
0402(0.4ミリ×0.2ミリメートル)サイズの生産が増加する中、次世代となる0201(0.2ミリ×0.1ミリメートル)サイズの実用化に向けた取り組みも始まっていて、試作品が作られつつある。
今後もより小さな容積の中に、より大きな静電容量を詰め込む研究開発が続くと思われる。
デジタル機器の一層の高性能化・小型化に応じた新たなコンデンサーの研究開発もまだまだ続く。
その際、セラミック誘電体の薄層化技術や多層化技術を生かし、誘電体層を薄くして、多く積み上げることで容量を大きくすることができる。
アルミ電解コンデンサーは容量と電圧との積当たりの体積が小さく、コストがほかのコンデンサーに比べて安いのが特徴。
パソコンや薄型テレビなどデジタル家電の電源回路をはじめ、環境対応・省エネルギー化の機器の構成部品としても注目される。
特に中国では室内用エアコンのインバーター化が加速していることから、今後、アルミ電解コンデンサーの需要もさらに増加すると思われる。
また、最近では導電性高分子タイプのアルミ電解コンデンサーの利用が拡大している。
通常のアルミ電解コンデンサーよりESRが小さいほか、温度変化による特性変化も小さいため小型でも長寿命化を実現できることから、パソコンのマザーボードや自動車の電子制御ユニット、産業機器など幅広い分野で搭載されている。
タンタルコンデンサーはほかのコンデンサーに比べ高価であるが、小型化にしやすい上、周波数特性や温度特性に優れている。
ノートパソコンやデジタルカメラの中央演算処理装置(CPU)周辺回路や、携帯電話の音響回路などに搭載されている。
電気二重層コンデンサーは蓄電池よりも短時間で急速な充放電が可能であるほか、ほかのコンデンサーと比べて大容量の充放電を行うことから蓄電能力が非常に高いといえる。
充放電の際には化学反応が伴わないため電極劣化がほとんどなく、耐環境性・安全に優れるほか、長期にわたって使用できる。
パソコンや携帯電話、家電製品など、電子機器のメモリーバックアップ電源や、ハイブリッド車(HV)のエンジン起動時の電力源、加速時におけるアシストなど幅広い分野で使用される。
また、無停電電源装置(UPS)や瞬時電圧低下補償装置の用途にも使われている。
特に、東日本大震災の影響による電力不足で緊急停電した際の対応策としてUPSの需要が増加。
UPS導入で情報システムや生産ラインを安全に停止させる時間や、自家発電装置が稼働するまでの時間を確保することができることから、多額な損害を阻止することにもつながる。
さらに回路も、プリントからフォトリソグラフィ、さらに、フォトリソグラフィーを必要としない透明フレキシブル微細回路にまで、研究開発が進んでいます。
例えば、鳥取大学大学院工学研究科情報エレクトロニクス専攻助教木下健太郎の研究がそれです。
http://jstshingi.jp/abst/p/11/1121/cic-tokyoA02.pdf
研究背景
1.半導体プロセスの微細化限界
2.リソグラフィ及びエッチングを必要としないプロセス技術の確立
これまで、およそ3年ごとに技術の世代が交代し、さらに、0,1µmを目前に微細化ペースが緩やかに
金属酸化物のメモリー効果に注目
ReRAM(Resistive Random Access Memry):電圧印加により抵抗変化が生じる物質を利用したメモリ
Conducting-AFMによる抵抗書き込み
Conducting-AFM(C-AFM)によりNiOに直接電圧を印加.抵抗変化領域を形成
電極を介さずに任意の太さのフィラメントを形成可能
抵抗変化領域=細いフィラメントの集合体≒太いフィラメント
電界効果による超微細領域の伝導性制御
AFM‐tipにより、従来のリソグラフィー技術から逸脱した任意の微細サイロを形成可能.
マスクを必要とせず、パターン変更も容易.
従来技術とその問題点
金属酸化物、弱密着層、金属電極、C-AFM土台の層、あるいは、金属酸化物、有機電導膜、プラスチック基板、C-AFM土台の層を作った後、下部電極除去の必要あり!
新技術の特徴
金属酸化物、絶縁体基板(プラスチック、ガラス等)、C-AFM土台の層のみでよく下部電極なしでも金属酸化物への抵抗書き込みが可能
NiO/Glass構造への抵抗書き込み
電圧印加無しで、低抵抗⇒高抵抗、高抵抗⇒低抵抗、ともに上書き可能
成膜条件に応じて初期抵抗の制御も可能
低抵抗ラインの書き込み
低抵抗ライン上とラインを外れた領域(初期領域)では抵抗値に明確な差
本手法のメリット
・超微細回路の作製が可能
・フォトリソ工程を必要としない
・配線とその間の絶縁層の切れ間がないため見た目も美しい
・電極を必要とせず、プラスチックやガラス基板上に直接酸化薄膜を成膜してパターン形成が可能
お問い合わせ先
国立大学法人鳥取大学
産学・地域連携推進機構
知的財産管理運営部門長 佐々木茂雄
TEL 0857-31-6000
FAX 0857-31-5474
e-mail chizai@cjrd.tottori-u.ac.jp