神様はサイコロの目を見ない
■香港 神のみぞ知る
部屋は広くもないが落ち着きがあり天井照明が室内とダークブラウン系の壁面を照らしカウンターテーブルには暖色系の淡い間接
照明の灯りが映え おしゃれ感を奏で壁面収納棚には無数のボトルが陳列した中 まさに絵に描いた様なお馴染みの白Yシャツに
黒ベストを着用し、黒の蝶ネクタイで一人の初老男性が大理石風カウンターを拭いていた所作から顔を上げ視線を向けて来た。
「ローラ ずいぶん早い到着だね」
「楊(ヤン)さん 今夜は貸し切りかしら」
(え~ 顔と声に覚えがある どこだ・・・)
俺が思い出そうとしていると
「Satosi こちらに来て 座りましょう」
俺はカウンター席でローラの右隣に座り
「驚きの場所って ここですか・・・」
「Satosi は どこだと 思ったのかしら」
小首を傾げ白い歯並びを見せてローラが微笑んだ。
「ローラ いつもので良いかな と言っても 久し振りだが」
「楊(ヤン)さん も Satosiと再会ね」
(え!俺と会っているって どこだ・・・)
バーテンダーがカウンター下からグラスを取り出し背面の壁面収
納棚からボトルを掴み振り返ってカウンターに置くと俺に視線を向け
「Thank you, you're here again」
神も仏もない まして天使は見て見ぬふりか
(フィクションであり、実在の人物組織とは一切関係ありません)
(画像はイメージです)