神様はサイコロの目を見ない
■香港 骨董品丝绸之路
「李の旦那 あの日本人の若者には直接的な恨みはないが 親父は日本軍に虐げられ何とか逃げ延びて故郷に帰って湖南省で農村
戸籍として私が生まれて育ち若い頃は人民公社に入れられ解体後の農地共同所有でも作物の現金化が乏しくて 郷に嫁と幼い娘を
置いて旦那方が言うところの農民工として上海から深圳へ そして珠海に流れ着き旦那に拾われて香港まで来て娘が産んだ孫も育
ち国慶節か春節に今じゃ年老いた嫁が待つ郷で孫と一緒に顔見世が楽しみなんて若い頃は思いもしませんでしたぜ あの太子党の あんちゃんには分からないと思いますぜ 旦那」
受け取った紙幣を素早くズボンポケットにしまうと
「李の旦那 日本に行った娘からの便りで旦那方に役立つネタが」
下卑た顔で手を出されて李克生は目を細め
「判断するのは私だ 中国残留日本人工作の孫役で日本へ渡った娘からか 先に言いな」
神も仏もない まして天使は見て見ぬふりか
(フィクションであり、実在の人物組織とは一切関係ありません)
(画像はイメージです)