キーが首に縄をつけられたまま連れてこられた。しょぼくれているのかと思ったら逆にニコニコしている。これから自分がどういう目に遭うか想像すらしていないようである。やはり発達障害を通り越して魯鈍だなと私は確信した。こうしたモノは己の欲望に忠実だから、後先も考えず大食いしてしまって丸々と肥える。性欲も動物と同じで際限がない。だが、その特徴を生かそうにも、頭が弱いからなすすべなく今のような状況に陥ってしまう。

 キーは私のほうを見てニコッと笑った。新しいご主人様ができるくらいのことは、柳から言い聞かされているのかもしれない。どこもかしこも肉がついているが、乳房だけはチョコンとして可愛い。布団に仰向けに寝かされた。両手は万歳の格好にされて、片方づつ男に押さえつけられる。両脚も開き気味で片方ずつ男に持たれた。脇の下の毛が黒々としてグッとくるほどエロい。キーは男性ホルモンが多いのか、全体的に発毛が立派である。髪の毛はもちろん、下の毛や眉毛なども濃い。身体的には強靱そのものに見えた。まだ若いのに下っ腹はボコンと出て恥丘も盛り上がっている。これだけ立派な体格の女を100万ぽっちで手に入れることができて、私は得をしたと再認識した。50年以上は楽に使い回せるから。思わず、笑みがこぼれる。

 「目隠ししろ」柳が側にいた女に命じた。小道具係なんだろう。焼けた焼印を見ると、ショックで暴れ出す恐れもある。キーは黒いアイマスクをされた。周造が赤々とした焼印を用心深く、高く掲げて持ってきた。オーというみんなの歓声。ソレをユックリと私に渡す。撮影班のカメラや照明、反射材が取り囲む中、私はキーの脚をまたいで座った。ケツはやや浮かし気味である。私はキーの顔を見たかったが、その表情はアイマスクに隠れてうかがい知れない。焼印はオレンジ色に焼けて離していてもウッとくるような熱を持っている。

 「いつでもどうぞ」の柳の声。その拍子に、私は構えていても熱いだけだと悟って、焼印をキーのドテに押しつけた。

 「ギャーッ」という悲鳴と同時に下からはねのけるような衝撃。タンパク質の焼ける匂いと青い煙。私は一瞬で跳ね起きた。体勢はかろうじて保っている。もし、崩れていればキーの余計なところまで焼く恐れもあった。ヘタすると、自分の腕なり足なりをやる可能性もある。5秒どころか1秒も押しつけていられなかった。人間の最後の力というモノは凄まじいモノであることを改めて知った。だが、焼印の効果はそんな刹那の時間でも充分で、ドテに丸に修の字が赤くクッキリと着いている。まるで、えぐりとった切り口みたいに見えた。

 「ソレを寄こしてくれ。冷やすから」と柳がいうので、私が焼印を渡すと、彼はソレをまた配下の者に渡した。そいつが炊事場へと運んだ。事故のないように慎重を極める動作である。側にいたモノは遠のいていた。

 「ゲンタシンだ。ワセリンが入っているから冷却効果がある。塗っとくといい」

 柳がポケットから軟膏を出してくれた。私はキーの横に座り込んで、アイマスクを外した。目蓋のぶ厚い目は濡れていた。私を非難するように睨んでいる。

 「そんなに睨むなよ。悪かったな。コレでオマエはオレのもんだ。薬、塗ってやるから、すぐ直るから。ちょっと浸みるかもよ-」と私は笑顔を見せ、ゲンタシンをタップリと出して落とすように塗りだした。キーは少し顔をしかめたが、表情が溶けていく氷のように柔らかくなっていく。

 

                        続く