「オメエーはともかく、焼印を早く手に入れることに集中しろ。電話じゃ生ぬるい、明日、家まで行ってこい」私は言った。

 「わかったよ、話がそこまで煮詰まってんなら、オレも動くしかない」と周造。

 「ヨシ、ということで今日は帰るからよ。女をここに置くことはオレが段取るから、カーチャンには一言も言うなよ。じゃあナ」

 といって私はリックを背負って立ち上がった。

 義行宅につくと、熱い業務用風呂に入ってすぐ寝た。

 朝は涼に起こされた。スーツを着ているので、寝ぼけマナコに誰だと思ってビックリした。高そうなピカピカの腕時計をしている。見るからに金回りが良さそうである。コマした清原由美は高額な学資保険を解約して、涼の元に走ったと聞いている。それから、揉めて亭主が手切れ金を三百万払って由美を連れ帰ったそうだが、また逃げ出して今は三井の淫売屋で働いている。まったく、うまくやったモノだ。由美は元々が破滅型の女なのかもしれない。口アングリするようなのが時々いるからな。

 「涼、オメエーしばらく見ねえうちにずいぶん垢抜けたじゃネエか?」私は立ち上がりながら試すつもりで言った。

 「ココも寂しくなりましたね。専務ひとりで寝てんですか?」と涼が言った。髪も伸ばしていて、いいとこのホストのようだ。

 「オマエなあ、オレに一言もなしに出ていきくさって、兄貴に言ったらどやされるぞ。オレの付け人としての役割を忘れてるってナ」私はそう言うなり洗面とトイレに向かった。帰ってくると涼は台所にいったようだから、私も着替えてそうした。

 涼は則子と横並びで座っている。則子は女に磨きがかかったというか、Mリーグの女雀士のような格好をしている。つまりは胸の谷間を露出しているということである。

 私は彼ら二人の前に腰かけて言った。

 「則子、メモしろ。調べて貰いたいヤツの名前だ」手帳にはM小学校、園池先生と書いてあった。

 「これだけ?」と則子。

 「こんだけありゃ、充分だろうが。M小はU都宮市立だ。学校まで行ってこい。それで園池先生の全てを調べ上げるんだ」と私。

 「男、女?」と則子。

 「男だ。教えてる女の子の股間を舐めてる変態教師だ。年は24,5。若くて見た目はジャニーズ系らしい。実家、家族構成、資産状況、全部調べ上げろ。絶対に許さないからな。骨までしゃぶってやる」と私は吠えた。

 「凄い勢いですね」と涼が驚いて言った。

 「あたりめえだろ。こんなの許しといたら何人犠牲者が出るかわからないぞ。変態が直ることは絶対ないからな。重くなる一方だ。恐喝としちゃこういうのが一番やりやすいからなあ。社会正義の一面もあるから」私は言った。

 「ナーるね。相手にゃ負い目があるから表にはでずらいってわけか?ウフッ、やりやすい仕事じゃないすか。派手にいったろじゃないですか」涼にもエンジンがかかってきた。「変態息子が24,5ならカーチャンは50代ですね。マッポシ、専務の守備範囲ですね。張りきるわけがわかりましたよ。オレは姉か妹がいたら助かるんだけど・・」と言う。

 「多分いるだろ、そんな気がする。とにかく、家族全員、メタメタにしゃぶり尽くすんだ。1000万は上げるつもりでいく」

 と私は力をこめた。

 「それぐらいは楽勝でしょ。上流階級だと思うから、3000万はいけるんじゃない?」と則子が口を挟んだ。「園池という名字は由緒正しいのよ」

 「へえー、オメエー姓名判断もやるのかい?ま、そんなのは行ってみりゃすぐわかる。飯食ったら、お手々繋いで出動しろ」

 と私は命じた。

 「ハイ、ハイ」則子は答えた。

 

                         続く