クリスマスの喜びと虚栄の冠をかぶった王のお話 | からし種と空の鳥

からし種と空の鳥

日本キリスト教団 
西宮聖光教会のブログです。
兵庫県西宮市にある小さな教会です。

今日は水曜日ですので、今週の日曜日の礼拝メッセージをお届けします。

 

 

 

今週は、ユダヤ人が待望していた「救い主」-「ユダヤ人の王」がお生まれになったのに、このことを喜ぶことができなかった王のことを考えました。

 


 

「いつまでも存続するものは、信仰と希望と愛と、この三つである。このうちでもっとも大いなるものは、愛である」(コリント人への第一の手紙13章13節)

私たちの教会の年間聖句です。​​​​

 

 

 

 

2023年12月10日のメッセージ

「救い主誕生の喜びと

ヘロデ王の不安」

聖書 マタイによる福音書2章1~3節

 

1 イエスがヘロデ王の代に、ユダヤのベツレヘムでお生れになったとき、見よ、東からきた博士たちがエルサレムに着いて言った、

 

2 「ユダヤ人の王としてお生れになったかたは、どこにおられますか。わたしたちは東の方でその星を見たので、そのかたを拝みにきました」。

 

3 ヘロデ王はこのことを聞いて不安を感じた。エルサレムの人々もみな、同様であった。

 

 

 

東の国からきた博士たちは「占星術師」と言われますが、星の運行から神さまのみ旨である真理を尋ね求めていた「天文学者」です。

 


彼らは「異邦人」です。しかし、彼らは「東の方で見た星」が「救い主のしるし」だと知っていました。

 

 

 

「真理を探究」する者は、どこの国の人であれ神さまの真理を見出すことができるのでしょう。

 

 

「求めよ、そうすれば与えられる。捜せ、そうすれば見出す」(マタイ7:7)とある通りです。

 

 

ある日、彼らに「救い主誕生」のしるしである「星」が現れて、彼らを救い主のところまで導いてきました。

 

 

しかし、ユダヤの王であったヘロデはこのことを聞くと「不安」を覚えました。「心がかき乱され」「動揺した」のです。

 

 

ユダヤ人の念願であった「救い主の誕生の知らせ」を聞いたのに、エルサレムに住む人々も不安を感じた…

 

 

今日は、クリスマスを喜べない人たちがいたことを考えてみたいと思います。

 

 

***

 

ヘロデは、イエスさまがお生まれになる頃、ユダヤの国を統治していた王です。(在位BC37-4年)

 

 

「聖書辞典」によりますと、ヘロデの政治手腕は大したものだったようです。

 

 

道路、水道、建物などのインフラ整備を行い、列強する大国のはざまでずる賢く振舞って、当時のローマ帝国の保護を取りつけてユダヤの王の地位を得ました。

 

 

またヘロデは、エルサレム神殿を立派に再建しましたが、それも国内外に自分の力を示すパフォーマンスでした。

 

 

彼は、神の民であるユダヤ人の王でありながら、神さまのみ心よりも自分の地位と栄誉を求めました。

 

 

自分の地位を保つために骨肉の争い、覇権争い、妬み、粛清…

 

 

王であるにも関わらず、ユダヤの国民が幸せになろうが不幸になろうが考えてはいませんでした。

 

 

また、ユダヤの民はヘロデの「見栄」のために過酷な重税に苦しめられていました。

 

 

なぜヘロデは、このような残忍な王になってしまったのでしょう。

 

 

***

 

実は、ヘロデ王は神さまが約束されていたユダヤの民が待望する「王」ではありません。

 

 

マタイ福音書の冒頭の系図にも示されているように、神さまの祝福はアブラハム―イサクーヤコブーユダへと続き、救い主はユダ族の「ダビデの子孫」から出ると預言されていました。

 

 

このことは、ユダヤ人であれば誰もが知っています。

 

 

ヘロデはアブラハムの子孫であっても、イサクから受け継ぐはずの神の祝福を逃したヤコブの兄エサウの子孫、エドム人です。(創世記25章24節以下参照)

 

 

だから、本物の「ユダヤの王」が登場することを恐れていたのです。

 

 

ヘロデ王はいろいろな功績を残しましたが、それらはすべて神さまの「保証」によらず「自分の栄誉」のためでした。

 

 

***

 

 

ところで、聖書にはユダヤ人以外の異邦人の国の王が、この東方の博士たちのようにユダヤ人の神を畏れ敬う話があります。

 

 

一つは、ヨナ書に登場するアッシリアの首都ニネベの町の王様です。

 

 

ヨナが、悪に満ちていたニネベの町を神さまが滅ぼすと告げると、王は民だけでなく、獣や家畜までも断食して神の憐れみをもとめて悔い改めるよう命じ、民も皆その通りにして悪の道から離れたので滅びを免れました。

 

 

 

また、ユダヤの国が滅びて民が他国の支配下にあった時代、預言者ダニエルを通して「まことの神」を知って、すべての民にダニエルの信じる神を畏れかしこむようにと命じた異邦人の王がいます。

 

*ダニエル書6:25.26

25ダリヨス王は全世界に住む諸民、諸族、諸国語の者に詔(みことのり)を書きおくって言った…

 

26 わたしは命令を出す。わが国のすべての州の人は、皆ダニエルの神を、おののき恐れなければならない。彼は生ける神であって、とこしえに変ることなく、その国は滅びず、その主権は終りまで続く。

 

 

 

ヘロデは、自分がユダ族でもダビデの家系でもないという「コンプレックス」を抱いていたことでしょう。

 

 

しかし、ヘロデにも、祝福される道が残っていたのです。彼も、「アブラハムの子孫」であるのですからなおさらです。

 

 

 

神さまの憐れみと助けを求め、神さまに教えを乞うて、せっかく与えられた「王」という働きを全うすればよかったと思います。

 

 

ヘロデの「コンプレックス」は、自分を立派に見せようとする「虚栄」と残忍な「殺意」となって現れました。

 

 

エルサレムの人々も「不安」になったのは、心乱したヘロデ王が何をするかわからなったからだと思います。

 

 

 

今日も、いろいろな形で「ヘロデ王」が現れます。「パワハラ」などの、人の心身を傷つけたり命を奪うような「暴力」も、その一つでしょう。

 

 

もし、私たちも何かの「コンプレックス」があるとしたら、ヘロデのような「虚栄」と「妬み」に心かき乱され、「マウントを取る」ことに躍起になるかもしれません。

 

 

 

神さまが王として送ってくださった「救い主」は、すべての民一人ひとりを大切にしてくださるお方です。

 

 

今日の「招きのみ言葉」をもう一度よみます。

 

*イザヤ55:3

3耳を傾け、わたしにきて聞け。そうすれば、あなたがたは生きることができる。わたしは、あなたがたと、とこしえの契約を立てて、ダビデに約束した変らない確かな恵みを与える。

 

 

 

クリスマスは、この世界に神さまの愛と正義が行われるために救い主がダビデの子孫から生まれたことを記念する日です。

 

 

私たちも、異邦人の博士たちのように、喜びをもってクリスマスを祝いたいと思います。

 

 

今、この世界の国を支配している指導者たち、王たちが、神さまの教えにしたがって民を統治し、この世界に平和がもたらされることを祈ります。

 

 

そして、神さまに愛されている私たちも、自分の弱さを隠すための虚栄を張らず、神さまの恵みによってすべての方と平和に過ごしていきたいと思います。

 

【黙想・祈り】

父なる神さま。弱い民は、この世の支配者にどんなに虐げられても、重い税金で苦しめられても、過酷な労働や戦争に駆り出されても、抵抗することができません。あなたがそのようなこの世界を憐れみ、救い主をお送りくださったことを感謝いたします。私たちのまことの王が、すべての民を統治してくださいますように。そして、あなたから愛されている私たちも、あなたのみ心にかなう働きができますように導いてください。インマヌエル、主イエスさまの御名によって祈ります。アーメン。

 

 

 

 

キラキラクリスマスツリーキラキラ

 

 

長いメッセージをお読みくださり、ありがとうございました。

 

 

ヘロデ王のような人に支配される民は、本当に大変です。でも、だからこそ「その時代」に神さまは「救い主」をお遣わしになられたのだと思いました。

 

 

ヘロデの最後は、悲惨だったそうです。

 

 

地上の争いがなくなりますように。平和がもたらされますようにハート

 

 

子どもたちが作った

紙粘土の「聖家族」ニコニコ

 

 

 

キラキラろうそくが4本灯ると

クリスマスですルンルンキラキラ

 

待ち遠しいなジンジャーブレッドマン