水曜日は、日曜日の礼拝のメッセージをお届けしています。
5月11日は「母の日」でしたが、特別な母の日のメッセージではありません。
けれども、私たちを「新たに生まれ」させてくれた「母なる教会」のことを思い巡らしました。
2025年度の
年間テーマ
「お言葉どおりこの身になりますように
~われ弱くとも恐れはあらじ~」
年間聖句
「恐れるな…神には、
何でもできないことはありません。」
(ルカによる福音書1章30.37節)
5月11日のメッセージ
「新たに生まれ、新たに生きる」
聖書 ヨハネによる福音書3章1~15節
(一部だけ載せます)
5 イエスは答えられた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも、水と霊とから生れなければ、神の国にはいることはできない。
6 肉から生れる者は肉であり、霊から生れる者は霊である。
7 あなたがたは新しく生れなければならないと、わたしが言ったからとて、不思議に思うには及ばない。
8 風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞くが、それがどこからきて、どこへ行くかは知らない。霊から生れる者もみな、それと同じである」。
救いを求めてイエスさまのもとに
今日はニコデモに語られたイエスさまのお話を通して「新しく生まれ、新しく生きる」ということを考えてみたいと思います。
1 パリサイ人のひとりで、その名をニコデモというユダヤ人の指導者があった。
2 この人が夜イエスのもとにきて言った、「先生、わたしたちはあなたが神からこられた教師であることを知っています。
神がご一緒でないなら、あなたがなさっておられるようなしるしは、だれにもできはしません」。
ニコデモはユダヤ人の最高自治機関である最高法院(サンヘドリン)のメンバーです。サンヘドリンは祭司とパリサイ派の律法学者などから選ばれた71人で構成されていました。
権威と伝統を重んじる彼らは、イエスさまに対して心よく思っていませんでした。
その中にあって、ニコデモはイエスさまが神の力を持っていることに驚き、もっと話を聞きたいと思ったのでしょう。
しかし彼は、立場上イエスさまの弟子となることはできません。だから夜になって、人目をしのんでイエスさまのところに訪ねて来たようです。
3 イエスは答えて言われた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも新しく生れなければ、神の国を見ることはできない」。
「よくよくあなたに言っておく」これは、「アーメン、アーメン」という言葉です。「アーメン」は「まことに」「確かに」という意味です。イエスさまは、彼に大切な話をされます。
奇跡を見ても、いやしをみても、たとえ「死人の復活」を見ても、「新しく生まれなければ」神のご支配を本当に知ることはできない、というのです。
まことの救いを求めて
*ヨハネ3:4~7
4 ニコデモは言った、「人は年をとってから生れることが、どうしてできますか。もう一度、母の胎にはいって生れることができましょうか」。
「新しく」とは、「上から」「天から」とも訳せる言葉、今までにない新しさを意味する言葉です。
このことを理解できないニコデモに対してイエスさまは、より具体的に語られます。
5 イエスは答えられた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも、水と霊とから生れなければ、神の国にはいることはできない。
「水と霊」は、悔い改めた者にイエスさまがお授けになる「霊による洗礼」を示すのでしょう。
しかしニコデモにはチンプンカンプンです。「肉体の命」のことしか考えられないニコデモには、目には見えない「霊によって生まれる」という意味がわかりません。
「人は年をとってから」というのは、ずばり「老人が」という言葉です。ニコデモは、すでに老年であったようです。
彼はユダヤ人として、神さまの知恵と義を求めて、律法を守って真面目に生きてきた。そして、ユダヤ人社会のエリートの座についています。申しぶんのない人生を歩んできたのです。
しかし、彼は人間の限界に直面しています。わびしさ、淋しさ、そして、いつまでもローマ帝国の支配下に置かれて、未来の展望が開けない閉塞感を何とかしたいと思ったのではないでしょうか。
年を取り、このままでは夢も希望も感じられない。この頃およそ30歳の若いイエスさまに、一縷の望みを託してやってきたのかもしれません。
しかし、イエスさまから聞いた言葉は意外でした。
「新しく生まれなければ」などと言われ、若返ることができるなら、もう一度生まれ変わることができるなら、皆そうします。
でも、そんなことできるはずがありません、そういう気持ちだったでしょう。イエスさまにあしらわれたと感じたかもしれません。
しかしイエスさまのこのお言葉は、ニコデモだけではなくイエスさまの弟子たちも、また私たちもすべての人がわかってはいませんでした。
神の霊によって生まれる、これは生まれてみなければわからない世界、信仰によって悟る世界の話です。
イエスさまは、その話を続けられます。
水と霊とによって新しく生まれる
*ヨハネ3:8~11
8 風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞くが、それがどこからきて、どこへ行くかは知らない。霊から生れる者もみな、それと同じである」。
「風」も「霊」も、そして「息」も同じ言葉です。目には見えないけれども、その働きを私たちは感じ取ることができます。
「風は思いのままに吹く」―まさに聖霊は神さまのみ心のままに送られるのです。
9 ニコデモはイエスに答えて言った、「どうして、そんなことがあり得ましょうか」。
ニコデモは、まだわかりません。でも、諦めずにさらにイエスさまに問いました。
10 イエスは彼に答えて言われた、「あなたはイスラエルの教師でありながら、これぐらいのことがわからないのか。
11 よくよく言っておく。わたしたちは自分の知っていることを語り、また自分の見たことをあかししているのに、あなたがたはわたしたちのあかしを受けいれない。
神さまがすでに語りかけてくださっていたのです。(エゼキエル書37章など)また、しるしを見せてくださっていたのです。(ヨハネ2:23)
ニコデモはイエスさまに厳しいことを言われながらも、腹を立てることもなく、おそらくいろいろなことを思い巡らしていたことでしょう。
自分の考えに固執していると、神さまの本当のお姿がわかりません。ニコデモはプライドを脇において、イエスさまの話を聞き続けました。
このあと、イエスさまはご自身がこれからなさる業の意味を、聖書の民数記(21:4以下)に記されている「青銅の蛇」の話から説きあかされます。
神さまに背き、不平や文句ばかり言っていた民は荒野で死んでしまいました。けれども、民のリーダーであるモーセが青銅の蛇を造り、竿にかけて掲げ、それを見るならば民が救われたという話です。
これは、「十字架につけられたキリスト」がすべての人の救いとなるということを示しています。
この意味を知り、またそれを信じるためには、自分の頑なさや無知を認め(悔い改め)、聖霊の助けが必要です。
聖霊は、イエスさまが天に帰られたあと、弟子たちが集まって祈っているときにその場にいた皆に注がれました。
「よくよくあなたに言っておく。だれでも、水と霊とから生れなければ、神の国にはいることはできない。」(5節)
復活されたイエスさまが天に帰られたあと、地上に残る弟子たちに聖霊が送られました。
聖霊は、自分の「罪」を認めさせ、「悔い改め」(心を自分自身から神さまに向けること)を起こさせ、神さまの偉大な力と愛を知るために注がれたのです。
悔い改めた者が洗礼を受け、仲間が増え、そこから教会が生まれました。
教会は神さまの教えを伝えます。教会は信仰者を生み、そして、信仰者を育てます。
だから教会は「母なる教会」と呼ばれます。教会はまさに、信仰者の「母」としての役割を果たすのです。
父なる神、そして「母なる教会」が私たちを守ってくださいます。
肉の体は母の胎から生まれます。そして、霊の体は、人がいくつになろうとも「母なる教会」から「霊」によって生まれます。
聖霊が5月の風のように、私たちのところにもさわやかに訪れてくださいますように。
そして、皆が「信じる者」となりますように。また、信仰者として成長していくことができますように。
【黙想・祈り】
父なる神さま。あなたの愛を感謝いたします。あなたの霊によって私たちを日々新たにし、あなたの子として守り、私たちを育ててください。イエスさまの御名によって祈ります。アーメン
長いメッセージをお読みくださり、ありがとうございました。
誤解されるかもしれませんが、「洗礼」が「神の国」に入る「必須条件」ではないと思っています。
イエスさまと一緒に十字架につけられた犯罪人は、洗礼を受けることもなく「あなたはきょうわたしと一緒にパラダイス(天国)にいる」と約束してもらえました。(ルカ23:43)
彼が地上で生き延びることができたら、間違いなくイエスさまの弟子となり、教会で活躍したことでしょう。
ニコデモは、このあとイエスさまの裁判が行われる時に、公平な意見を述べました。(ヨハネ7:50)
そして、イエスさまがついに処刑されたとき、そのなきがらを葬るために働きました。(ヨハネ19:39)
自分の立場に固執するのではなく、誠実な生き方を選び取ったニコデモは、カトリック教会では「聖人」とされています。
今の時代も、水と霊とによって生まれたクリスチャンのリーダーが、民のための政治をつかさどることができますようにと祈ります。
うちの教会の「共同の祈り」の一項目です。
「為政者がみ心にかなう正しい判断をすることができますように。」
Uさんが入院した病院のすぐそばから海が見えます。
夕陽がきれいでした

イエスさまが共におられることを
聖霊がわからせてくださいますように。
安心して、喜んで日々過ごせますように!