​ムスコッティ4y4m『koov動く車』




 

​母、固まる

その日はたまたま電話に出られた。

いつも学校からの電話に一回で応答できたことはない。

だいたい着信に後で気がつき、かけ直している。


ムスコッティの担任とは何回か電話でやりとりしたことがあった。

ムスコッティが頭痛を訴えたり、友達に嫌な呼び方で呼ばれるのが嫌だと言ったり

母も悩んでいた時期で、担任にその件については報告をしていたのだ。




担任の話では

ムスコスは春から毎日、


トイレットペーパーのロールをトイレの便器に投げ込む


ということをしていたらしい。

その度にトイレが詰まり、学校側も対応に困っていたようだ。

問題のトイレには新しいトイレットペーパーのロールを置かないようにしたり

休み時間にそれとなく見張りの先生を立てたりと

色々してやっとムスコッティが犯人であったとわかったようだ。


ムスコッティは理由を説明できず

イライラしたからやっちゃったのかな?の問いにうんと頷いたと。


『お母さん、今日は学校からいろいろお話ししていますので

家ではあまり叱ったりしないだください。

お子さんが何か話されるようなら、聞いてあげてください。』


そう言われたものの母は頭真っ白。

とりあえず、ひたすら担任に詫びたものの、さて、私はこれからどうしたら良いのだろう。


悪いことだとわかっていながらもずっとやり続けたムスコッティ。一度や二度ではないのだ。

どんな気持ちだったのか。

きっと本人は毎日が辛いのだ。

やはり習い事なのか?

毎日注意されるのが大きなストレスだったか?

お友達が体調不良を毎日訴えて保健室登校になっているのも影響しているのか?

お友達に嫌なことをされるから?


否定的なことしか言わないムスコッティ。

家で荒れて、両親共にイライラが募る毎日。


これはダメだ。



順調だと思っていた長男ムスコスは毎日担任から叱られ何するかわからないやつ扱い。

次男ムスコッティは家でも学校でも荒れている。



息子たちとの付き合い方がわからないぞ。

特にムスコッティはカウンセリング必要なんじゃないか?

母は冷静に息子たちを見つめるべきだ。


そんなわけで兄ムスコスに引き続き

ムスコッティのWISCの予約を取ったのである。



処理能力が低くて、環境の変化や日々のタスクが重荷になっているのではないか。

母はそう予想していたのだが

ムスコスに引き続きムスコッティの結果も予想外だった。