『「がんばらない」経営 不況下でも増収増益を続けるケーズデンキの秘密』(立石泰則著、草思社)

家電量販のケーズデンキでは、定時退社が徹底されている。Photo
週休二日制も当たり前。
数値目標でスタッフをしばらない。
会社が従業員を守り、従業員が会社を支える。

著者の立石は、35歳で社長に就任。
「うちとからんだ人はぜんぶ幸せになるようにします」
定年まで働いたら財産ができる会社にするという。

ぼくの『ウエットな資本主義』のなかで言いたかったことが、実際の経営で行われている。
長く走り続けるにはがんばらないこと。
「がんばる」では、いずれ破綻する。
なかなかの経営者。
おすすめの本だ。



『はるちゃんのいただきます』(文・大平光代 絵・村上祐喜子、本願寺出版社)

今年2月、大平光代さんと2人で『くらべない生き方』(中央公論新社)を書いた。
その大平さんの子、はるちゃんは、いっぱい病気をもって生まれてきた。
ダウン症で、生後まもなく心臓の手術をし、白血病もわかった。
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大平さんは、はるちゃんをいとおしく、大切に、大切に育ててきた。
ぼくも一度、会ったことがある。
男の人が苦手というが、ぼくが手を広げると、飛び込んできて、抱っこさせてくれた。
なんともかわいい。

大平光代さんはこの絵本で、はるちゃんを通しながら、大切なことを文章にしている。
絵は、村上祐喜子さん。
NHKエクゼクティブアナウンサーの村上信夫さんの奥さんだ。
村上信夫さんは、「鎌田實 いのちの対話」を一緒にやっている、ぼくの大切なパートナー。
なんだか、不思議な縁を感じる。

村上祐喜子さんは、もともと絵本作家。
『丹波竜のおくりもの』(丹波新聞社)という恐竜の絵本もなかなか素敵だ。
『ハラダさんのハラハラ記念日』(ポプラ社)は、スキーの原田選手の活躍に感動して生まれた絵本。富山県の大島町絵本館全国手づくり絵本コンクール最優秀賞を受賞した。

『はるちゃんのいただきます』は、村上さんが大平さんに手作り絵本の作り方を教えているうちに、2人で絵本をつくることになったという。
ぜひ、ご覧ください。

2010年7月 3日 (土)


村上先生、がんばれ


夕張医療センターで、騒ぎが起こっている。
理事長の村上智彦先生が、自殺を図って心肺停止状態の患者さんの受け入れを拒否したという。
19床の有床診療所はいま、一人体制である。
とても24時間体制で救急を受け入れられる状況ではないようだ。
夕張市の救急の予算は年間120万円。
その予算でさえ医師会の事務職員の人件費として消えている。1006223image600 実質ゼロだという。

苦境に陥った夕張市を助けたいと、夕張市に赴いた村上先生。
この動機を、行政やマスコミ、地域の人たちは理解する必要があるのではないか。

家にいたいというお年寄りを、彼は必死で診ている。
在宅患者は120件という。
外来も混雑している。
110床の特別養護老人ホームも、グループホームも運営している。
40床の老人保健施設にもかかわっている。
老人保健施設には担当医師がもう一人いるようだが、この規模の施設を理事長として一人でコントロールし、24時間体制で在宅ケアをしながら、なおかつ24時間365日、救急患者を受け入れることは現実的にはできない。

救急の受け入れを拒否したというバッシングではなく、厳しい現状のなかで、どう改善していくべきか、話し合っていかなければならない。
夕張市内には、夕張医療センターを含めて5つの医療機関があるという。
隣町まで、車で1時間から30分のところにいくつかの病院がある。

どんなに大変でも、医師は地域の人に認められ、感謝されることで、がんばれる。
だが、どうも夕張では、何かが空回りしているような気がする。
村上先生の熱い意気込みが切れてしまわないことを祈る。