日本陸上女子短距離において、トップ選手である青山 華依選手が練習中に前十字靱帯を切った事について思う事がある。
通常、走動作においては、前十字靱帯断裂のリスクはありません。
では何故?断裂に至ってしまったのかを私なりに考えていきます。これは選手本人が一番分かっている事なので、とやかく言うつもりはないのですが私は陸上コーチをしている立場から、選手の気持ちを考えるとやるせない思いでいっぱいなのです。
私がコーチであれば、前十字靱帯の断裂に至る事態には絶対にならない。何故ならば、私は様々なスポーツ障害と戦ってきた経緯があるので、それぞれの怪我に対し、どういう動作がどのくらい身体に負荷を与えるのかを熟知しているからです。
今の世の中ですとYouTubeなどで、青山選手の動画なども自由に閲覧できます。その中で青山選手が前十字靱帯を断裂する前の動画があって、プライオメトリックの一環でハードルジャンプをしている映像があり、私はとても危険な飛び方をしていると不安になった記憶ががありました。
それで、この事態ですから、、、
おそらく着地した瞬間に前十字を切ったと思います。
私がコーチならば、現場ですぐに指摘しています。
これだから、元何とかや、才能一本での天下りコーチはダメなんです。完全に現場監督の責任です。
選手には何の落ち度もありません。
何故ならば、そこにコーチが存在しているからです。
起きてしまった事はもう仕方ないので、これから青山選手が怪我を克服していくには?を考えます。
先ず、現在青山選手は前十字靱帯を二回切ってしまい、二度目のリハビリ過程にあります。
え???二回目?
そうなんです、、とても大変な状況です。
前十字靱帯断裂において、整形外科の世界では、何種類かの靱帯再腱手術があり、青山選手の術式は膝蓋腱移植による再腱手術になります。
お前、関係者でもないのに何で知っとるん?など思うかもしれませんが、リハビリ映像のなかで青山選手の膝の傷痕を見れば一目瞭然です。
短距離選手という事で膝蓋腱移植になったのだとは思いますが、私ならば、ハムストリングの一部を採取し、人工靱帯と絡めて再腱する術式を選びます。
理由は、膝蓋腱移植であると、おおよそ一年後くらいに再腱した膝蓋腱が血流不足により一旦腐り極端な強度不足に陥ります。その後時間をかけて、腱への再血管新生が始まり、徐々に生きた強度のある靱帯に移り変わっていきます。つまりはスポーツ選手の強度に再腱した前十字靱帯が育つには最低でも1年半は必要で、私が知りうる膝蓋腱移植によるACL再建手術選手の中では大体2年かかってます。
青山選手が前十字を再断裂した時期は、ちょうど術後一年です、、、
トップふレベルの選手ですから、名のある名医の元でも手術とは思いますが、何故膝蓋腱移植を勧めたのか?意味がわかりません、、
短距離選手にとって大切なハムストリングを採取する事への懸念は理解できますが、選手はそもそも2年ものリハビリを耐えるメンタルは持ち合わせていません。私とて、流石に2年は待てません、、
残念ながら、また再断裂すると思います。
その理由があって、そもそもの青山選手の走動作では、股関節からの大腿内旋主体の動作が目につきます。
これは、整形外科の世界では、膝の内捻りにより内側半月板損傷を伴う前十字靱帯断裂が大変多い事からも言える事で、バスケやサッカーなどターン動作が重要な球技スポーツなど、後はバレーボールなどでジャンプ後のバランスを崩しての着地などで前十字を切ります。
青山選手が完全復活するには、スプリント動作を根本から見直す必要があります。
内旋主体動作では、腕を縦にではなく、誰が見ても横に腕を振っているように見てとれます。女の子走りってやつです。
女子にどうしても腕を横に振る選手が多い理由には単純に骨盤が広く、左右のバランスを外旋主体動作で走るには技術が必要になります。
才能だけで結果を出せてしまう短距離走において、なかなか根本からの技術習得は出来ないし、選手は皆、己れの走りがどこまで通用するのか?という自負もあり、兎に角必死で練習します。
うーむ、、現時点で青山選手の胸中はなかなか穏やかではないでしょう、、、
きっと、再断裂の不安と戦っているはずです。
何事も焦ってはいけないものです。
膝蓋腱移植再腱手術ですので、一旦競技を離れ、ゆっくり過ごす選択も良いと思います。
だって、青山選手は才能があります。
これは年齢的にも、まだまだ劣化するタイミングではありません。
どうか焦らず、ゆっくり治される事を願うばかりです、、