本日、国際オーボエコンクール本選
モーツァルトの四重奏もR.シュトラウスの協奏曲も全員分聴いていましたっっ!!
ざっくりな感想を言うと・・・
(※個人の感想、備忘録です!!)
まずモーツァルト四重奏に関しては、全員うまい。
装飾の入れ方や倚音の扱い方、ハイFの扱い方などにそれぞれの違いはあるものの、誰がどうとかないくらい皆様素晴らしく、それぞれの音楽とオーボエの素敵さがふんだんに発揮されていて、
改めてなんちゅー名曲だ
オーボエの魅力がだだ漏れじゃないか
って、そっちに感想がいきました
モーツァルトやるなぁ!つって(なに様)
重箱の隅をつつこうと思えばつつけますが、全員がもう一回ずつやり直したらまた違う演奏になるでしょうし、このハードなコンクールにおける多少の詰めきれなさやミスは音楽の本質とは関係ないように思います。
ミスや解釈の違いみたいなことがコンクールでどの程度審査に影響するのかは分かりませんが。
そんなわけで、モーツァルトの時点では好みはありつつも、結果の予想は全くつきませんでした。
ところが!シュトラウス!!!
こちらはかなり差があったように思います。
聴衆賞の投票も、モーツァルトが終わった時点で投票した人とシュトラウスまで全て聴いて投票した人とでは意見が違うのではないかな…。
経験の差、ということもあるかもしれません。
それに、疲労が蓄積された最後の最後にシュトラウスはやっぱりキツいですよね
私は全てを聴いた上で、誰を選ぶか、今回ものすごく悩みました。
いつもは「この人しかいない!」って感じでなんの迷いもなく心が決まるのですが、今回は本当に難しかったです。どのベクトルで選ぼうか?みたいな
息をのむほど美しいppや一本の糸のようにつながるレガートの美しさに心うばわれ
自分にはない音色の華やかさや自由で解放された音楽のキラキラ感に惹かれ
大きなフレーズでメリハリのある丁寧な演奏と楽章間にすらこだわりを感じる(私もモーツァルトの協奏曲、四重奏ともに2、3楽章間は緊張感をたもったままアタッカ気味に吹きたい!)音楽性にものすごく共感し
三人のうちだれを選ぼうか?
結局、わたしは自分が吹くときと最も近い感覚の方を選びました。音の強弱やニュアンス、音の処理、息のもっていきかた、フレーズ感、ブレスの位置(我ながら細かい)などがいちばんしっくりくる人。
やっぱそうだよね!そう吹くよね!!という人。
でも、正直、その方には派手さはなく(比較すると、の話です。)そのすごさ、上手さはモーツァルト四重奏やシュトラウスをさらいこんだことがあるオーボエ奏者になら沁みるように分かる(低音から高音まで繊細なコントロール!!しかも一発も失敗することなく発音も音程もドンピシャ!音のツブが小気味よく、レガートがとにかく美しい!それでいて出てほしいところはしっかり強さもだせる!和声感もいい!フレーズ感もテンポ感も好き!!)けれど、オーボエを演奏しない人や、モーツァルト四重奏・シュトラウスをさらいこんだことがない人には良さがあまり伝わらないかもしれないとも思いました
おそらく聴衆賞はその方ではなくあの方がかっさらうにちがいない・・・という予想は大当たりでした
聴衆賞、そして第一位、アンヘル・ルイス・サンチェス=モレノさん!
なんというか、ステージ上での振る舞い方も含め、ひとりのプロの音楽家として完全に確立されていましたね
いや、だって!!モーツァルト四重奏のあの自由さ!!
もしも私があの自由な音楽性を持っていたとして。
自分のリサイタルかなにかで存分に発揮することがあったとしても、コンクールであそこまでそれを出し、やり切る勇気は私にはない
彼の場合、自由でいてモーツァルトの世界観は損なわれることなく、活き活きと面白く、ひとりだけ別次元なくらい音楽を楽しんでいて、そこが審査員の方々にどう評価されるのだろうかとちょっとドキドキヒヤヒヤしましたが(余計なお世話でしかない)、一位🥇
やっぱり音楽は自由でいいってことなのかしら
と、コンクールに対するイメージも少し変わりました
自由をはき違えたり、ひとりよがりにはなりたくないけど、私も「こう吹かなくちゃ」「こうじゃないとダメ」みたいなところから自分を解放して、自分が面白いと思う表現を追求したいです!楽しくなりそう
アンヘル・ルイス・サンチェス=モレノさんの演奏といえば、2次予選のクープランのコンセール11番が強烈に印象に残っています。
曲が始まった瞬間、あまりにも美しい音色と息づかいに「この音楽は天上から降りそそいでるのか?」と思いました
息が吹きこまれるたびに独特の響きと流れがうまれて、今まで聴いてきたコンセールと全然違う!!
浮き出てくるメロディが違うというかなんというか。違う曲みたいで。
なにこの天使の笛は!!と思いました
それにしても、本選に進まなかった方々も含め、皆様若いうちから凄すぎる・・・!!!
年齢的にまだもう1回、2回受けれる方も
皆様の今後のご活躍が楽しみです!!
今回のコンクールの結果は、予想順位こそ違いましたが、誰を聴衆賞に選ぼうかと迷った三人がトップ3でした
それぞれ本当に素晴らしかった!!
私も日々頑張ります!!
明日は入賞者&審査委員コンサート
楽しみ
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