展示会は、8章構成によって作品
が分けられていた。
(企画上の分類で作品の制作年代とは異なる)
1章:春が来ることを忘れないで
2章:自由を求めて
3章:移りゆく光
4章:肖像画
5章:視野の広がり
6章:戸外制作
7章:春の到来、イースト・ヨークシャー
8章:ノルマンディーの12か月
展示会場での撮影は禁止なので、作品写真は
各メディアのSNSから拝借しました。
(7章と8章のデジタル作品は撮影可)
1章:春が来ることを忘れないで
左:花瓶と花 1969年 東京都現代美術館蔵
右:No.118・2020年3月16日「春の到来 ノルマンディー 2020年」より
まずはコロナが世界的に蔓延した
2020年頃から、ロックダウン中
に制作されたデジタル画と
1969年のエッチング作品が
並べて展示されていた。
これは、50年の時を超えた
ホックニーのメッセージだ。
人の一生は、どんなに苦しくとも
誰にでも必ず春が訪れるという、
ホックニーの人間と自然に対する
愛に他ならない。
デイヴィッド・ホックニー:
1937年7月9日、イングランド北部のブラッドフォードに生まれる。同地の美術学校とロンドンの王立美術学校で学び、27歳の時に1964年ロサンゼルスに移住して本格的な画家を目指す。アメリカ西海岸の陽光あふれる情景を描いた作品で注目を浴びた。その後60年以上にわたり美術表現の可能性を探る試みを続けている。
現在はフランスのノルマンディーを拠点に、iPadを用いた身近な光景を主題にした作品を発表している。
イリュージョニズム風のティー・ペインティング(1961)
彼のメッセージを受け取って、
次室に入るとすぐに心を動かされ
た作品に出会った。
2章:自由を求めて
1960年代初頭からの初期作品が並ぶ。
左:一度目の結婚・様式の結婚Ⅰ (1962)
右:三番目のラブ・ペインティング(1960)
1962年に描かれたもので、
なぜこの作品に惹かれたのか。
(自身の感情の動きに説明は必要はないが)
一度目の結婚・様式の結婚Ⅰ
SNSからのダウンロードで、原画とは色彩が全く異なる
まずは見た瞬間、花嫁のベールの
透明度と男女のデフォルメの妙、
右に立つ椰子の木の白さと葉と
太陽の彩度を抑えた色感が見事に
調和しているのを感じたからだ。
3章:移りゆく光
左:スプリンクラー 1967 東京都現代美術館蔵
右:ビバリーヒルズのシャワーを浴びる男 1964 テート蔵
入場して、すぐに魅入ってしまい
「これから先が思いやられる」
とは、一緒に観た相棒のセリフ。
スプリンクラー
この3章で展示されていた作品群は
シンプルで空気や水などの透明感
を見事な様式美で完成させている
リトグラフ「ウェザー・シリーズ」
窓から差し込む光や雷、雨、雪、
風といった流動的な存在をいかに
描くかの試作とも言える作品(上)。
「リトグラフの水」シリーズ(1978-80)
この一連の作品は、ホックニー
絵画の真骨頂ではないかと感じる
好きな作品群だった。
「リトグラフの水」シリーズの一つ