ジャニー喜多川の性加害問題とメディアについて | 京都案内人のブログ

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ジャニー喜多川の一連の性加害問題で、元ジャニーズ事務所がテレビでの記者会見をし、その内容が連日テレビやネットでの話題となっている。10月2日の元ジャニーズ事務所の会見を受けて、テレビ各局が被害者の補償問題とタレント起用に対するコメントを発表したが、そのほとんどが同じ内容で、被害者への補償と再発防止に向けた取組が着実に実施されているか確認するとのこと。

 

私は、このジャニーズ問題に関して、テレビを中心としたメディアの対応には疑問しか残らない。

 

各局が認めているように、ジャニー喜多川による少年に対する性加害は、長年にわたって既成事実ながら業界におけるタブーとされていた。この問題が大きく話題に上り、メディアの俎上に上った時点で、各局は自らも暗黙の了解によってタレントを起用していた事実を認め、戒めと反省するようなメッセージを発した。

 

しかし、これは保身が前提の表面的でいわゆる「コンプライアンス」という安易なヨコモジに包括される曖昧な言葉でお茶を濁しただけに終わっている。

散々に視聴率のためにジャニーズタレントを競って起用し、多大な恩恵を受けながら、問題が生じると自分たちのハイエナ的な行動を、あたかも反省する風な曖昧なメッセージで済ませている。

私は、各局はジャニーズの性加害問題の完全な共犯者だと断言する。

 

そして、もう禊が済んだように、元ジャニーズ事務所叩きが始まっている。各局とも右に倣えのように、今後の被害者への対応、救済案などの具体的になるまでタレントの起用を控えるという。

この問題は若い所属タレントには責任がない。有望なタレントの職を奪うことに他ならない。要するに「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」だ。

今では、この話題を飯の種にして、MCや訳のわからないコメンテータ

のようなものが連日、無責任などうでもいいようなことを喋る。

 

これはそのメディアに広告費を投入するクライアントも同罪である。

つねに企業は、自社のイメージの好感度を求めて、悪いイメージは必ず排斥する。メディアと同じように問題が起きると、すぐにタレントを切る。これは昔から営々と続けられてきたもの。

問題を起こした事務所とは関係を断つ。その所属するタレントは広告に起用しない。早々とメッセージを出し、悪い企業イメージを払拭しようと躍起になる。

 

企業やメディアの金と視聴率至上主義からくる、現代社会を象徴する非常に表面的で安易で危険な社会風土の成せる技。

 

かつての企業やメディアは、確固たるポリシーのもとで活動をしていた。いつしか、企業もメディアも誰もが責任を取らない無責任で官僚的な組織に成り下がり、自らの首を締める体たらくとなった。

 

なぜ、確固たるポリシーを持って、才能のあるタレントを堂々と起用する企業やメディアが現れないのか。

大勢の波に右へ倣い、少しでもクレームのない組織体制から、自由と創造力豊かな人材も技術も決して生まれない。

私はこのことを一番恐れる。