京都御苑の西南隅にある閑院宮邸跡は、
何度も取り上げているが、ここもあるひと時に
思いもよらない光景に出会うことがある。
この日はどんよりと雲が垂れる灰色に近い日だったが、
それが返って晴れた日とはまったく違ったしっとり
とした光景があった。
いつも歩く庭も何か風情が違い、
見慣れた景色だった庭の池と築地塀が、
まるで違った別世界のように見えた。
鑓水に落ちた紅葉や石灯籠の向こうに映える
紅葉のコントラスト。
しばし庭を歩いて邸内に入ると、いつも決まって
部屋の床に映り込む庭の紅葉を眺める。
もう幾度となくカメラにも収めているが、
この日の光はいつもよりきれいに見えた。
中庭の枯れた萩の黄葉が床に映り込む光景も
初めて見た。