2018年6月24日、京大の吉田寮の前を通りかかった時、
偶然にもこの日が吉田寮を明け渡すための引越の期限だと
いう話を聞いた。
その後、同年の9月30日まで延長されたというので、
再びその前に訪ねてみたが寮生はほとんどが残っていた。
この時の寮生の話だと、大学当局が10月1日に
ライフラインを止めるということだった。
それでもかなりの寮生が踏ん張って住み続けていた。
京都大学吉田寮(東大路通近衛)
それから4年。
つい先日、友人の病気見舞いで京大病院(京都大学医学部附属病院)
へ行った帰りに久々に吉田寮を訪ねてみた。
京都大学吉田寮
京都大学吉田寮(写真中央が築108年の建物)
塀に建てられた看板など、吉田寮は以前と
何も変わらない光景だった。
京大吉田寮(築108年):
1913年に京都帝国大学寄宿舎として建設された木造2階建ての建築物。
お金が無くても安心して勉強に取り組み、生活できる場所。
大学や職員に管理さらるのではなく、寮のことはすべて自分たちで
話し合いで決める「自治」によって運営されている。(寮費:月2,500円)
寮の前に行くと、たまたま出てきた寮生の一人に
現在の状況を訊ねてみると、彼は気さくに質問に
応答してくれた。
彼の話によれば、
大学側の老朽化による解体主張と、自治側は寮の耐震構造に
改修するかとの話し合いが続けられていた。
ところが突然、大学当局が話合いを拒否。
2019年に大学当局が裁判所に提訴し、
新しい寮生が住むことを認めないという指示が
裁判所から出たという。
「それでも 続け!ひろがれ!吉田寮」
100年以上、続けてきた吉田寮を京都大学が壊そうとしています。
寮生だけでなく、さらに地域の人や世界の誰もが関われる場所として、
これからも続けていきたい。そのためにあなたと力を合わせたい。
吉田寮でお待ちしています。
これには私も驚いた。
こうなると、もう官僚や役所のすることだ。
吉田寮食堂:
集会場として利用しているが、これも解体対象という。
木造の別棟
真摯に吉田寮を守ろうとする学生たちの心情を
逆撫する行動だ。
今年の4月に12回目の口頭弁論が行われ、
この6月に13回目の口頭弁論が行われるという。
(京都地方裁判所101号大法廷)
興味のある方は下記をどうぞ
これまでの経緯:
40数年前、大学側から吉田寮の老朽化の理由で建替の計画が伝えられた。これは表面的な事情で、大学側は学生自治の巣窟となっている吉田寮を
排除したかったらしい。
寮の自治体と大学側の話合いが始まったが、平行線を辿っていつの間にか、建替問題は鎮静してしまった。
ところが2004年、政府による国立大学法人化によって、その建替え問題
が再燃。寮生たちはこれに猛反対し、補修することで、むしろ木造建築は
長く使い続けられると反論。2015年までは大学当局との話合いが行われ
ていた。だが、同年に大学側の執行部が代わると、いきなり話し合いを
打ち切り、退去するよう裁判所に寮生相手に提訴した。