喫茶マドラグの前に、1963年創業の喫茶セブンがあった。
京都で昭和の風情を残す喫茶店のひとつだった。
喫茶セブン(店の前には水出しコーヒー機が置いてあった)
私は15年ほど前まで、近くでデザイン事務所を構えて
いたので、ランチやコーヒーを飲みに何度か寄っていた。
昼には近隣の常連さんがカレーライスや焼きめしを
注文して賑わっていた。
喫茶セブンが開店した頃は、コーヒーが100円前後の時代だ。
ただ古いだけでなく、昭和モダンの雰囲気が
好きだった。その後、10数年ほど前に閉店したことを
知って、また一つ昭和の灯が消えることを淋しく思った。
後で分かったことだが、セブンの閉店はマスターの
急死だった。東京でサラリーマンをする息子さんが
いたが、京都へ戻ってセブンを継ぐことを断念。
現在の喫茶マドラグの店内
店の雰囲気をそのまま継いでくれる人を募集して、
現在のオーナーが10年前に喫茶マドラグとして継承した。
その息子さんは、数年前に勤めを辞めて東京秋葉原で
カフェをオープンした。
カフェの名前は屋号を継いで「セブン」にしたそうだ。
8年前に寄った時のコロナサンド
この喫茶マドラグと喫茶セブンに関しては、
さらに続きの話がある。
このマドラグのネーミングは、現オーナの奥様が好き
だった往年のフランスの大女優ブリジット・バルドー
の別荘(南仏のサントロペ)の名前からとったという。
この「la madrague」は、バルドーのシャンソンの
楽曲名でもあり、発表されたのは
喫茶セブンの創業と同じ1963年のこと。
何とも、縁は異なもの味なもの。