「GION H」の人々−3 | 京都案内人のブログ

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  「GION H」のすぐ近くには南座があり、芝居を終えた役者さんが時より飲みにきたという。私は一度も会わなかったが、往年の3代目市川猿之助さんも南座関係者と時々来店したらしい。また、名優でナレータとしても活躍している久米明さんも、当時は足繁く通ったそうだ。そういえば、壁や厨房の上に色んな役者さんの色紙が並んでいた。



 ある時、役所広司、根津甚八、いかりや長介、日野正平、渡辺哲さんら錚々たる顔ぶれが入ってきた。客は私ひとりだった。いかりやさんが、マスターに「お世話になります」と、律儀な挨拶を交わしたことが記憶にある。


 実は、この役者さんたちが来ることを私は知っていた。渡辺哲さんは、いまでは名バイプレイヤーとして活躍中だが、私は無名な頃からの友人だった。京都での仕事の際には、必ず飲みに歩き、その一軒が「GION H」だった。


 哲さんはテレビ時代劇「八丁堀捕物ばなし」(※)の撮影で太秦に来ていた。撮影の合間に共演者に、この「GION H」のことを話すと、皆さんが一度行って見ようということになったらしい。
 だから私が予約をして、できれば貸し切りでとお願いしていた。私が席を立とうとすると、マスターが一緒にと制して、哲さんも「いいじゃないですか一緒で」、ということで皆さんと一緒に痛飲した。

※「八丁堀捕物ばなし」については、2014年8月8日のブログで、少し詳しく触れている。




 その後も、二次会と称して「屋台村」へ繰り出した。ここも、私の娘がバイトをしており哲さんが行ってくれたのだが、その日は終夜まで、もう大変な騒ぎとなったらしい。