今日は12月20日☃️
『ちょこっと雑学』
[[サトウの切り餅誕生秘話]]
餅つきの光景を見かけなくなった。
その代わりに、季節を問わずいつでも食べられる餅を手に入れた。一切れずつきれいに包装された餅を。
その代表的存在が、「サトウの切り餅」。包装餅の歴史を塗り替えるエポックメイキングな製品である
「餅に生えるカビは、防ぐことができない」──餅製造業者にとって、ほとんど解決不可能と思われていた難題。
包装餅の歴史は、餅の宿敵“カビ”を防ぐところから始まった 1963(昭和38)年、薬品メーカーの指導で、餅製造業界は餅のとり粉に防腐剤を混ぜたのし餅を発売した。
ところがこれが食品衛生法に抵触し、業界は壊滅的な打撃を被る。 事態を回復するためには、カビが発生せず、長期保存が利き、安心して食べられる餅の開発が急務だった。
その翌年、新潟県食品研究所(現食品研究センター)が、フィルム包装ごと80度で湯殺菌する画期的な包装餅の技術(ロケット包装)を開発。
それはハムのような形をした包装餅で、保存期間は約2週間にまで延びた。サトウ食品もすぐに製造販売に乗り出した。
鳴物入りで発売されたハム型包装餅だったが、いかんせんこの形では食べにくい。消費者の評判も今ひとつだった。
そこで同社は1965(昭和40)年、のし餅の縦横に筋を入れ、簡単に割れるようにしたリテナー成型板餅を開発。
「サトウの板餅・サクラコトブキ印」と名付けて発売した。食べやすくなっただけでなく、半真空状態で餅を保存することにより、保存期間も6ヵ月まで延びた。
食べやすいと評判だったが、一度包装を開けると16切れの餅を一度に食べなくてはならなかっし、もっと長く保存したいという声も多かった。
1973(昭和48)年、同社はレトルト殺菌釜、ロータリー真空機、三連包装機、耐熱性資材という多数の革新的な機械を導入して「サトウの切り餅」を発売した。
これにより、なんと1年もの保存期間を実現した。更に、食べやすさを考えて導入した三連のコンパクトな包装が消費者の支持を獲得した。
1年も保存が利き、しかも封を切っても餅を余らせることなく使い切ることができる「サトウの切り餅」は、爆発的なヒット商品となった。
同社は全国的に「朝食もちキャンペーン」を張り、ポスターやチラシ、小冊子などを通して大々的な宣伝を実施。新しい餅の食べ方を日本人に浸透させていった。 殺菌包装は衛生的に優れ、長期保存にも適した技術だったが、ただひとつ欠点があった。
それは加熱処理することによって、つきたての餅が持つおいしさを失ってしまうこと。長期保存とつきたての餅のおいしさを両立させることが、次なる開発テーマとなった。
それを可能にしたのは、1979(昭和54)年に登場した“脱酸素剤”。これは食品などと共に容器内に密封することで、その中の酸素を吸収し、食品のカビ発生や変色、風味の低下を防ぐもの。
その翌年、サトウ食品は「サトウの切り餅・つきたてバラ入り」を発売。これは無菌状態のクリーンルームで生のままの餅をまとめて袋に入れた、同社初の無菌化包装餅だった。加熱殺菌していないから、餅本来の風味はそのまま。
脱酸素剤のおかげで長期保存中もその風味を保つことができるようになった。
消費者の反応も良く、それまでは外袋を開けてしまったらすぐに食べるしかなかった生切り餅を、最後の一個まで新鮮に味わえるようにした。
更に1983(昭和58)年、「サトウの切り餅・つきたてシングルパック」を発売。
これは業界で初めて、生の餅を一個一個無菌的に包装した製品。
つきたてのおいしさをいつでも味わえるだけでなく、唯一残っていた酵母による発酵問題も起こらない。
発売から3年後、「サトウの切り餅・つきたてシングルパック」は、売上げで同社の殺菌包装餅を追い抜き、現在も主力製品としてベストセラーを続けている。
今年が始まって354日目。
今年は残り11日です。