今回は、ラグーナ出版『シナプスの笑い 50号』より、『患者とゲストが語るイギリスの精神医療』についてふれてみたいとおもいます。
このラグーナ出版という会社は鹿児島県にある就労継続支援A型の事業所で、中井久夫先生にとてもゆかりの深い事業所です。
この『シナプスの笑い』のなかでも中井先生の言葉を患者(ラグーナ出版社の社員)さんが読み解くといった、連載もありますのでぜひ読んでいただきたいと思います。
今回、ブログにあげようと思った記事がとても大切だなぁと思い、みなさんにもぜひぜひ読んでもらえたらと思い、触れてみたいと思いました。
いくつか伝えたいと思うのですが、二つだけにしたいと思います。
まず一つ目が、ラグーナ出版代表取締役で精神科医の森越まや先生が、精神的な病いから回復するリカバリーについて語られた言葉です。
『イタリアでは、多くの患者さん方が診断名ではなく、「私のクライシス(危機的局面)はこうだった。でも今は違う」というような言い方をしていました。日本では診断名がすごく重くて、それを基にリカバリーについて考えますが、イギリスではそのあたりはどうですか?』
このあと、イギリスのロンドンで精神科医をされている高尾有希さんの話が続きます。
高尾先生
『診断名については私もそう思います。イギリスはカウンセラー、セラピスト、心理学者が多いのですが、心理学の世界ではなるべく診断名を使わず、その人を見ていきます。医者はつい診断名をつけたがるけれど、もっと心理学的視点で考えていけると良いのかもと思います。』
森越先生
『生活をどのくらい邪魔するか、ですよね』
高尾先生
『そうですね。特に困らないで生活できるとしたら診断の意味があるのかということです。』
…これを読んで、私も自助グループや事業所でのプログラムの時に、自己紹介でよく『診断名』を言われる方が多いかと思います。
たとえば『妄想』なんかでいうと、統合失調症でいえば、現実的にあり得ない考えなどが浮かんでくる。鬱でいうと、確認もしていないのに悪い方向にばかり考えてしまう…はたまた、脳の病気によるいわゆる身体疾患からくる『妄想』もあるかと思います。
健康(?)な人でも妄想ってあるはずで、『困らないで生活できる』レベルなら、おっしゃるように診断名がどこまで大事なのだろう。
自己紹介に診断名を言われることを疑問に思わなかった自分自身なので、あらためて考えさせられてます。
国や文化による捉え方の違いに気づき、また視野を広げたいと思います