今回も『反螺線論』について、考えてみたいと思います。


この項を書かれたのが、1985年。この時代の産業分布図から、中井先生の考察が書かれています。


『1980年代における教育の荒廃や覚醒剤の蔓延に、過去の処方箋が当てはまらない新しい面があることが充分理解されていないように思う』


覚醒剤の蔓延があったのは、敗戦直後の都市の現象だったようです。また、学校に行かないで靴磨きや水商売にでていく子も、都市の問題で、農村はとてもうるおっていたようです。


1980年代になって、覚醒剤が蔓延したのは、農村だったようです。ちょうどこの頃、農業などの第一次産業が労働人口の一割をきった時期で、現在はというと、0.5割ほどで、第三次産業が全体の7割近くになっています。




中井先生も世代間ギャップの話をされています。


『話す相手は、ものごころがついたときには新幹線が走り、人工衛生が廻っていた世代であり、私はもう古老のような気がする。明治の福沢が言った「一身にして二世を生きる」とはこの事であろうか』


私もこの頃は小学生でしたが、20代ではポケベルから携帯電話、そして現代のスマホになって、それが当たり前の現代を生きる10代から20代の世代のストレスに感じる事を、共感できなくなっている面に気づく事があります。


同様に中井先生も、精神科医としての傾向をこう書かれています。


『"都市中流階級"には感情移入しやすく、農民、漁民、職人、少数民族、上流階級に対しては、診断、評価、治療的接近を誤ることが多い。』


2024年4月現在では、中井先生が例としてあげてくださった方々だけでなく、都市中流階級でも雇用が不安定で、満足な食料も得られない、また食糧の値段も上がっている状況です。

これまでにあったことかもしれませんが、このような状況である今を、どのように乗りこえるのが良いのでしょうおねがい


そもそもこの項の題名の『反螺線論』は、なぜ『反螺旋論』ではないのだろう…


(つづく)