前回に引き続き、『精神科医がものを書くとき』について、考えてゆけたらと思います。
精神分析家のバリントという方が、「スリルと退行」という本を書かれ、発達論的対象関係論からすれば、最初の母子一体の調和的渾然体が破れたときに2つの状態が実現すると指摘されました。
第一は
『フィロバティズム』(安全保障感を距離に依存)
第二は
『オクノフィリア』(安全保障感を膚接に依存)
であるとのことです。
簡単にいうと
『フィロバティズム』は、
「ひとりでいれる人、あるいは、人との適度な距離をとることを好む人」
『オクノフィリア』は、
「ひとりでいれない人、人に依存せざるを得ない人」
…極端かもしれませんが、こんな解釈になるでしょうか
ここで前回のブログで書いた、
①『世界をできるだけ単純な公式に還元しようとする』
②『世界の多様性に喜びを見いだす』
上記の友人を中井先生は
①を「火星人」
②を「金星人」
そして、中井先生自身は、
「地球人」
とひそかに規定されていたようです
そして、友人の
「火星人」は『フィロバット』、
「金星人」は『オクノフィル』
の傾向がある、と中井先生は書いておられます。
ただ中井先生は、
『無限に長いロープの綱渡りというものは不可能である』
と喩え、一般的な発達論からの対象との関係を距離等でとる「フィロバティズム」を肯定せず、「帰還する大地を必要とする」と書いておられます。
自分自身は…どうなんだろう
(続く…)