引き続き、『統合失調症患者の回復過程と社会復帰について』より、「若干の原則的な提言」についての続きです。


前回のブログから、サリヴァンさんの「患者の協力に期待できるもの」について


①辺縁的身体感覚の意識化

②辺縁に位置する思考の意識(言語)化

③こころに浮かぶあらゆることをすぐ言語化すること


と挙げさせていただきました。

これについて、中井先生は


『サリヴァンのいう患者側からの協力期待は順序を追ってなされる必要がある。病気の再生過程には、論理的といってよいほどの順序がある。』


と書いておられます。

確かにそうだなぁと思うのが、マズローの欲求階層説です。



サリヴァンさんのいう①はマズローさんの言われている「生理的欲求」にあたるのかなと。

まずは身体の回復から!


そして②は「安全の欲求」。

安全な場所の確保ということであると、自分が不安に思っている外泊や就職や結婚など、目の前にしている時に、話しても批判されない関係、そのままを受け止めてくれるどなたかが必要なのでしょう。


最後に③は、「所属と愛の欲求」なのでしょうか?

③においては、対人関係において、パラタクシス(発達段階で十分な人間関係を経験しないために、相手をゆがんでとらえてしまう自己防衛機構)的過程の中で、対人関係において思うことをすぐ言語化することで、幾分か不安が和らぐよう、われわれ支援者や受け止める人が必要なのかもしれません。


自分が病に伏せている時、以前のブログで書いていた、定期的に話しを聞いてくださる方がいらっしゃって、その方がよく言っておられたのが、

『病気からの回復は螺旋階段。全然よくなってないなぁと思いながら、いつの間にかこんなとこまで来てる。そんな感じだよ!』

と話されてました。


ただ支援する側になっても、支援される側の「すぐ良くなりたい」という気持ちは、すごく共感できます。


落ち込んでる時や、病状が悪いときは、どうしても良い方に考えられず、悪い方悪い方に考えてしまうのですが、今考えると、そういった気持ちを否定されず、ずっと聞いてもらえてたから今があるのかな?となんとなく、中井先生やサリヴァンさんの話しから気づきました✨


中井先生も患者さんの特性について、このように書いておられます。


『患者は、ほとんど全てが悲観論者であり、一時的現象を永久に続くと考えがちであるからだ。

しかも患者は、予測された未来の事態を、あたかも現在であるかのごとく感受し苦悩する特性を持っている。』


これを踏まえて、患者さんに関わることは大事なんだと思います。

そして、


『患者に対して、「この事態(現象)は、一時的である」ことを繰り返し語る必要がある。』


あと冒頭の中井先生のことば、

病気の再生過程には、論理的といってよいほどの順序がある。

ということを患者さんに説明しておくことも、患者の不安を減少させることに繋がると思われます。


そうはいっても人なので、「幻聴が言ってる」と言われて、段階を超えた行動をしようとして、調子を崩される方がいるのも実感です。


なので繰り返し繰り返し「伝えていく」必要があるのと、「伝わる日が来る」と信じる必要があるのでしょう照れ

なかなか中井先生のようにはなれないとは思いますが、少しでも近づけたら良いなと、また日々の実践に活かしたいと思いますおねがい