今回はちくま学芸文庫『「伝える」ことと「伝わる」こと』より、以前のこの本のブログに引き続き、「統合失調症、患者の回復過程と社会復帰について」の項の中井先生の「原則的な提言」についてふれてみたいと思います。


中井先生のこれまでブログでつづった提言は以下にあります。よければご覧下さい。


次の提言として、


『心身の感覚、特に一般感覚、あるいは共通感覚を重視する』


ということだそうです。

サリヴァンさんは、「辺縁的身体感覚の意識化」ということと挙げておられるようです。

どういうことを示されているのでしょうか?


「辺縁」だけでみると「ふち」とか「まわり」といった意味になるかとおもうので、「身体感覚のまわり」???となるかもしれません。


まず、治療者として

『一般感覚の言語化を援助すること』

が有効だそうです。

どうするのでしょう???


『「頭の中が騒がしい」か?

「頭の中が忙しい」か?

と尋ねることは事態についての共通認識の端緒となりうる。』

(※「端緒(たんしょ)」…手がかり、糸口といった意味)


よくわれわれ支援者は

「幻聴が聞こえますか?」

「それは幻聴では?」

と患者さんにきいてないでしょうか?

私もその一人でした…無茶苦茶反省ですガーン


上のように聞くことで

『心身の余裕感、その欠如感、焦慮感は多くの場合、患者の自尊心を傷つけずに意識化できる。』

ことに繋がるようです。


また統合失調症の治癒の突破口の一つが

『身体性にあるのかもしれない』

と中井先生は書いておられ、中井先生が診ておられた虫垂炎にかかった8例の患者さんのうち、7例がその身体病のおかげで治癒が飛躍したきっかけになったそうです。


また先程の「辺縁」について、脳にある「大脳辺縁系」をWikipediaで調べたところ、


『人間の脳で情動の表出、意欲、そして記憶や自律神経活動に関与している複数の構造物の総称である。生命維持や本能行動、情動行動に関与する。』


と書いてました。

脳に関しては全く素人ですが、私なりに、情動の表出、意欲、そして記憶や自律神経活動に関与するような働きかけ、例えばスポーツやゲーム、音楽、芸術活動などもこういったことが表現できますし、そういったことで『身体感覚をつかむ』ような関わりをしてみたいと思います照れ