前回に引き続き、「教育と精神衛生」について書いていきたいと思います。
中井先生は戦時中、子ども時代を過ごす中で、
『少なくとも教育する側とのやりとりにおいては、外傷体験である。空想の中で私は何度学校破壊したか』
と書かれています。他の著書にも書いておられますが、壮絶ないじめ体験をされておられたようです。また一方で戦時中ということから、
『いつ何時兵士である父が白木の箱となり、途端に一家の運命が一変するかもしれなかった。実例が、周囲を見回すだけで足りた。』
という状況であったようです。
そのような時代を生きた子ども達が親世代となり、
『どういう形で今家庭教育者体験として現れているであろうか』
と中井先生は問いかけておられます。
1968年、全世界的に「学生反乱」が起こったようですが、中井先生はその学生の親にあたる世代について、このように書いておられます。
『戦時中の教育への嫌悪が現在の教育への批評感情と共存し、しかも現実の子どもへの対応は、戦時中の教師のパターンになってしまっていることが大いにあり得る。』
どこかで起きている社会的な出来事は、起こしている世代の親への教育が要因となっているのかもしれない…
今、たくさん無料の子ども塾やフリースクールなど、いわゆる義務教育以外の選択肢がでてきているのも、われわれ世代の大人の受けた教育が、そのような状況を作ったのかもしれません
実際に運営されている方の世代も私くらいの世代の方が多いように思います。
ひょっとしたらですが、前回中井先生が書いておられた見つけられてない『第3の道』への通過点を今辿っているのかもしれませんね