連休明け「学校行きたくない」子どもの“SOS” どう受け止める

 

いよいよ大型連休。
旅行やレジャーなど、楽しみも多い時期です。
ただ、長期休み明けは「学校に行きたくない」などと訴える子どもが増える時期でもあります。

※記事末には大型連休明けに子どもの様子が変わり、学校を休ませるべきか、悩んだ時に保護者が参考にできるようチェックリストをまとめています。

目次

「長期休み明け」不登校に関する相談 増加率大きく

 

18歳までの子どもたちの相談に電話やチャットで応じている「チャイルドライン」を運営するNPO法人は、ことし3月までの9年間の電話相談のうち「不登校」に関連する相談がどの時期に多いか調べました。

その結果、件数が最も多くなるのは9月1日前後の「夏休み明け」ですが、大型連休明けをはじめ「長期休み明け」は増加率が大きくなっています。

7日間ごとの平均で傾向を分析すると大型連休のあとは冬休みのあとと同様に伸びが大きくなっています。

相談を寄せた子どもたちにその理由を尋ねたところ「話を聞いてほしい」が最も多く82.8%、「答えがほしい」が11.7%、「誰かとつながっていたい」が3.3%で、話しを聞いて欲しいと考えている子どもが多いことがわかります。

NPO法人に寄せられた声の中には「ものすごく学校に行きたくない。でも学校に行かなきゃ」といった心の葛藤を訴える声のほか「寝る前は気分が下がって、休み明けどうなるかが心配」など、休み明けに対する不安を打ち明ける声もあります。

チャイルドライン支援センターの向井晶子事務局長は「休み中に学校から少し離れられてほっとしていたところ、休み明けには『やっぱり行きたくない』という気持ちに気づくのだと思う。周りの大人が注意をし、見守ることが重要だと思う」と話していました。

“出かけるのは楽しみ でもそのあとが…”

 

不登校や登校をためらう「行き渋り」などの経験がある子どもを持つ保護者からは、大型連休明けの子どもたちの変化を気にかける声が出ています。

さいたま市緑区で今月24日に開かれたのは子育て中の母親と地域の人がもの作りをしながら会話を楽しむ催しです。

参加した人の中には、子どもに不登校や「行き渋り」などの経験がある保護者もいます。

参加した母親は「新学期は気を張っていたと思います。連休は家族で出かける予定があって楽しみにしていますが、そのあとのことが気になります」と話していました。

また別の母親は去年、小学生になった娘が5月に足の痛みを訴え、病院に行ったところ医師から「ストレスが原因かもしれない」と言われたといいます。

「おでかけも大好きだったが、4月・5月になると『でかけたくない』と言う。2年生で先生もクラスもかわったことでまた、バランスが崩れている」と話していました。

「『無理』と言った段階で限界来てる 受け入れてあげて」

 

こうしたイベントを全国で開いているのは「トーキョーコーヒー」。“登校拒否=トウコウキョヒ”のことばから生まれました。さいたま市での集まりを主催した若林美帆さんは「環境が変わるのは誰にとってもストレスだと思います。連休明けに疲れが出てしまうのは頑張ってきた証拠で『無理』と言った段階で限界が来ていると思うので受け入れてあげてほしいです」と話していました。

この団体では不登校のこどもを持つ保護者などが明るく過ごせる居場所を作ることで孤独感などがなくなり、自信を持って子育てに取り組めると考えています。

SNS上で保護者などのつながりを 新たな取り組みも

 

大型連休明けに「学校に行きたくない」など子どもが訴えたとき、保護者が孤立しないようSNSのチャット上で専門家や同じ悩みを持つ保護者などとつながりを持とうという新たな取り組みが今月スタートしました。

「不登校の親ネット」は日頃、不登校の子どもを支援している学習塾やオンラインのフリースクールが保護者を支援する目的で開設しました。

誰でも参加ができるLINEのオープンチャット上で、匿名で体験や悩みを共有することができます。

大型連休明けに子どもの不登校や学校への「行き渋り」が増える傾向にあることから、連休前の今月7日に開設しましたがすでに300人を超える人が登録しています。

これまでに保護者からは「クラス替えがきっかけで休みがちになりこのまま不登校になってしまうのか心配です。初めてのことでどうしたらよいか分からない」といった悩みのほか、「ここで同じ悩みの方たちと共有できるのが大きな支え」といった声も寄せられています。

今後は希望する人に不登校の専門家と直接相談ができる仕組みを作るほか、保護者どうし、オンラインでつながれるイベントを開く予定だということです。

開設に携わった1人で、不登校支援を20年以上にわたって続けている石井志昂さんは「連休明けの開設だと遅いので相談しやすい環境を作ろうとこの時期に開設しました。生の情報を交換しあい、子どものための有益な情報を集めてほしい」と話しています。

“学校休ませるべきか”悩んだら「チェックリスト」を参考に

もし、大型連休明けに子どもの様子が変わり、学校を休ませるべきか、悩んだ時に保護者が参考にできるよう、石井さんたちは精神科医と共同でチェックリストをまとめています。

質問は20項目からなり、例えば「登校時間が近づくと頭痛・腹痛・吐き気など身体的な症状を訴える」とか「なかなか寝付けなかったり夜中に何度も目が覚めたりするようだ」といった項目に1つでも当てはまる場合は「休ませましょう」となっています。

専用のホームページにアクセスしてLINEの公式アカウントから無料で使うこともでき、チャット形式で答えていくとアドバイスが示されます。

重要なのは「魔法の言葉を探さない」

 

もし子どもが学校に行きたくないと訴えたとき、重要な点として石井志昂さんが指摘しているのが『魔法の言葉を探さない』ということです。

石井さんは「『どんな言葉をかけたらこの子は学校に行けるかな』とか『前を向けるかな』などと考えますが、そういう言葉は存在しません。わが子だから早く救いたくて魔法の言葉を探してしまいますが、たいがい説教にしかなりません。ですので、焦らず見守りましょうという言葉に集約されます」とアドバイスしています。

その上で「相談を受けた際は『なんで行きたくないの?』とか『1日だけ頑張ろう』などと言うべきではありません。子どもにとって『あすちょっと無理かもしれない』というのは考えに考え抜いて言っていることが多いです。追い詰められてやっと言えたSOSなので『なんで?』とか『あす1日』などと言われると、緊急事態なのに助けてくれないと思ってしまうので、いったんは飲み込んでもらい、『そうなんだー』などと否定も肯定もせず、“なま返事”のように答えてください。本人が話したければ話しますし、余力がなければしゃべりません。事情をよく聞いてみて、様子を見ることがいちばんいいと思います」と話していました。