マジすか学園4 NEXT 第4回 | くさだいらのマジすか学園 (小説)

くさだいらのマジすか学園 (小説)

マジすか学園の小説をかいています。

さくらとゲッコウがタイマンを繰り広げる光景を、グラウンド外からいくつかの人物が、観賞するかのように目にしていた。




1人は、マジ女と矢場久根が決戦を繰り広げるグラウンド近くの茂みに、身を隠しながら偵察を行っていた。


しかし、その人物は両者の戦いを偵察しているつもりだったが、いつしか戦いの迫力に押され、単純に驚いているようだった。



その人物は、激尾古の新3年生となり、今でも偵察係をしているKYだった。



KY「お~っ!…アイツ、アントニオさんを倒したから、本当に強いなぁ……」



KYは偵察していたつもりだが、いつしかさくらへのほのかな応援に変わっていた。




そして、校舎の東側のフェンスの先には小さな道路があり、フェンス越しから一台のバイクにまたがる、黒いライダースジャケットを着用した人物がいた。


その人物はヘルメットをかぶり、シールドのみを上げたままの状態で、さくらとゲッコウのタイマンを目にしていた。



さらに、その少し距離を置いた場所では、マカロンを食べながらバイクにまたがる人物と、さくらとゲッコウのタイマンを、交互に視線を向ける少女がいた。


とりあえず、マカロンを食べ終えた少女は、大きなあくびをして再びさくらとゲッコウのタイマンに、視線を向けた。





そんな3人が視線を注ぐさくらとゲッコウのタイマンは、熾烈さを増していく。



周りの戦いもほとんど終結し、マジ女と矢場久根の生徒たちの視線は、さくらとゲッコウに集中している。


激しく移り変わる攻防戦の中で、さくらとゲッコウは共に距離を置いて、視線をぶつけ合っていた。


そんな中でさくらが、一気にダッシュしてゲッコウとの距離を詰め、さらにストレートを放つために右腕を構えた。


さくらの行動から、次の攻撃を予測したゲッコウは、左足を軸に体重を集中させてから、上体をわずかに下ろして待ち構える。


そして、さくらが右ストレートを放った瞬間、ゲッコウは避けるような動きを見せるが、そこから一気に右足を前に出し、さくらのみぞおちに強烈なミドルキックを命中させた。



防御態勢がとれないまま、みぞおちに強烈な蹴りをいれられ、さくらは苦痛の表情を浮かべ、バランスを崩して倒れかける。



すかさずゲッコウは左腕を伸ばして、倒れかけていたさくらの右肩を強くつかんだ。



さくらに驚かす間も与えず、ゲッコウは勢いよく腕を畳んで、さくらを自分のもとへ引き寄せる。


すかさず、先ほどミドルキックを決めたみぞおちに、さらに右足で膝打ちを決めた。



さくら「ウッ……」


つい出たさくらの声を聞き、ゲッコウの余裕さのある笑いを浮かべ、さらに前蹴りをさくらに命中させた。


さくらは受け身を取りながら仰向けに倒れ、すぐに立ち上がろうとするも、みぞおちの痛みで今度はうつ伏せに倒れる。


呼吸も乱れ、今は自力で起き上がるのは難しそうだった。




さくらが倒れた瞬間、このタイマンを見ていたカミソリとゾンビは、一気に心配具合が上がってしまう。



カミソリ・ゾンビ「さくらさんっ!」



さくらの名前を叫んだ2人は、自然に加勢に向かおうとした。

しかし、2人の前にシアターが現れて静止させた。


カミソリとゾンビは怒りをあらわにする。



カミソリ「おい、そこどけよっ!」


ゾンビ「さくらさんのピンチなんだよっ!」



シアターは表情一つ変えず、一度さくらに視線を向けた後、カミソリとゾンビに視線を向けた。



シアター「これは宮脇のタイマンであり、大将戦だ。ウチらが手を貸すのは筋違いだ」


カミソリ「そんなの分かってるけど……」


ゾンビ「だけど……」



シアターはさくらの方へ振り返り、カミソリとゾンビにさらに語りかけた。



シアター「……舎弟だったら、とことん信じろよ。それに、お前らが知ってる宮脇は、あんなに弱くないだろ」



それを聞いたカミソリとゾンビは、不安な気持ちもいだきながらも、次の光景を見て不安が一気に吹っ飛んだ。



倒れていたさくらが、立ち上がっていた。