深夜2時過ぎの
御殿場の街は深い眠り。
車もほとんど見ない。
ｾﾙﾌのｶﾞｿﾘﾝｽﾀﾝﾄﾞを見つけ
給油。
ｽﾏﾎのﾅﾋﾞをｾｯﾄし
東名御殿場ｲﾝﾀｰを目指す。
もう寒くはない。
東名に乗った相方250TRと俺。
とにかく浜松だ。
「気力」はあるが、
「体力」がちょっとヤバいかも。
自宅を出て6時間近くは経つだろうか。
相方250TRは時速90kmで目一杯。
目一杯で走ると俺の体力も消耗する。
駿河湾が目の前の
由比PAに寄った。
海の匂いがする。
目の前は真っ暗な海。
たくさんの虫が集まる
販売機の灯りが煌々と俺の相方を照らす。
聞こえてくるのはﾃﾄﾗﾎﾟｯﾄに打ち寄せる波の音だけ。
ﾊﾞｲｸを降りた俺の
身体はｶﾞﾁｶﾞﾁ。
遠くに船の灯りが見える。
車から降りて来たｶｯﾌﾟﾙの楽しそうな笑い声。
眠気が俺を襲う。
ｺｰﾋｰを飲んでもだめ。
ｽﾄﾚｯﾁ的な運動をしても
ﾘﾌﾚｯｼｭ出来ない。
身体がｶﾞﾁｶﾞﾁ。
ｺﾝｸﾘｰﾄの上に少し横になる。
正直、真っ暗闇の中でくじけそうになる。
これは何の試練なんだよ...
でもいつまでもｸﾞｽﾞｸﾞｽﾞしてても
始まらない。
後悔しても始まらない。
自分が選んだ道だ。
煙草の火をもみ消す。
「よし！行ったれ！」
もうなるようになる。
俺は相方に跨り、
ｽﾀﾝﾄﾞを蹴り上げｾﾙを回す。
とにかく浜松を目指す！
浜松までたどり着けば眠れるんだ。
本線に合流し、俺は一気に加速した。
相方は歯を食いしばっている。
俺も歯を食いしばる。
あと100km。
あと100kmで浜松だ。