ヒンドゥー教の聖地ベナレスの火葬場の撮影に金銭を要求するガバーメント・ウォッチマンたち | 圭介のブログ

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1973年9月4日 ベナレス

スティーブ・ジョブスは1974年叡智を授けてくれる導師を求めてインドへの旅をした。

僕の目的はガンジス川に面してある火葬場(バーニング・プレイス。マニカルニカー・ガート)で火葬を見る事だった。

自分の目で正視できる自信を持てなかったが、インドを旅した皆が絶対行くべき場所として教えられた。

▶Wikiのベナレス(ワーラーナシー)の「死出の地」によると、
インドではヒンズー教徒80%を占め、ヒンズー教の教えにより人々は生まれ変わるつど苦しみに耐えねばならないとされる。
しかし、ワーラーナシーのガンガー近くで死んだ者は、輪廻から解脱できると考えられ、インド各地から多い日は100体近い遺体が金銀のあでやかな布にくるまれ運び込まれる。
また、インド中からこの地に集まりひたすら死を待つ人々ムクティ・パワン(解脱の館)という施設で死を待つ。ここでは24時間絶えることなくヒンズー教の神の名が唱えられる。亡くなる人が最後のときに神の名が聞こえるようにとの配慮である。ここで家族に見守られながら最後の時を過ごす。
数千年の歴史を持つマニカルニカー(「宝石の耳飾り」の意)・ガートは、南北6キロガンジスの岸辺のほぼ中央に位置し、火葬場としての役割を果たしており、死者はここでガンガーに浸されたのちにガートで荼毘に付され、遺灰はガンガーへ流される。
金が無い人、赤ん坊、妊婦、蛇に噛まれて死んだ人はそのまま流される。
町にはハリシュチャンドラ・ガートと呼ばれる、もう1つの火葬場があり、2つの火葬場はドームという同じ一族が取り仕切っており、働く人々も共通であり、交代勤務で約650人が働いている。火葬場を見下ろす一角には、火葬場を取り仕切ってきた一族ドームの長の座る場所がある。
ここには聖なる火と呼ばれる種火が焚かれ、人々はこの火より火葬にする火種をもらう。ワーラーナシーは別名「大いなる火葬場」とも呼ばれており、年中煙の絶えることはない。なお、火葬場の写真撮影は厳格に禁止されている。火葬場を中心に町には巡礼路が設けられ、インドの多くの人々は一生に一度この巡礼路を歩くことを夢と考えている。
死者をガンジスの川岸で火葬に付し、灰をこの川に流すことは死者に対する最大の敬意とされ、 子供、妊婦、事故死、疫病死の場合はそのまま水槽される。
また信仰によりこの川で沐浴するために巡礼してくる信者も数多く、多くの沐浴場が設けられ、多くの信者が沐浴を行う。
その反面、毎年この川で溺死する人の数も多いという。

$圭介のブログ-ベナレス1973 火葬場 撮影 西田圭介









8~9月に集中するガンジス川の流量はゆったりとした流れに見えても建物の一部は水没し恐ろしい程のパワーを感じた。
先ず最初に目にしたのが沐浴場で釣りをしていた人の手元に水葬された赤子が流れてきて釣り糸にかかりそうになった時手元にあった小枝で軽々と遺体を避けたのを目撃した時、死生観の余りにも違いに言葉も無かった。

$圭介のブログ-ベナレス1973 火葬場 撮影 西田圭介









左岸に積まれた荼毘用の材木。上の写真は小さい火葬場。船似よるロケハン後実際の火葬場に行った。

先頭はお坊さんのような人が何かを言いながら歩きその後に奇麗なサリーで包んだ遺体を太い竹で作った担架に乗せ、4~6人の近親者が担ぎガンジス川の川岸まで運んで来た。

親族の一人が川岸に積まれた材木の値段交渉を延々とし交渉が成立すると、火葬場の材木担当が大きな木で組んだ天秤で材木の量を量る。

購入した材木は別の人間が河口(風上)に向けキャンプファイヤーのように井桁に組み上げていった。

その井桁の上にサリーで巻かれた遺体を乗せる。

先ほど先頭を歩いていた導師のような人が河口に背を向け井桁の前で読経をあげ、種火を風上の材木に移す時1メートル位の白布で風を遮りながら風量を調節しながら火をつけた。

火がつくと親族の一人は火葬している横で立ち小便をしたりガンジス川で手足を洗ったりしていなくなった。

その後は少年が担架に使っていた太い孟宗竹を火搔き棒の様にして遺体を焼いていく。しばらくすると細い腕が火の中に見えた時少年は妄想竹で手足を叩いて外し火の中に焼べた。

次に叩き割ったのは頭蓋骨だった。これは一撃で崩れた。

その後何度も胴体を叩いていたが痩せた女性の遺体はなかなか崩れず妄想竹で火力が分散しないようにファイヤーを調節していた。

とても正視出来ないと思っていたが淡々と火葬の様子を見ていた僕はそばにいたインド人にここを撮影しても良いか聞いてみたとたん

「俺はガバーメント・ウォッチマンだ。ここの撮影料は●ルピー必要だ」

金を払えば撮影させるのか?
ガバーメント・ウォッチマン?
どういう事?
すると回りに次々と多くのガバーメント・ウォッチマンが集まり出した。

その時自転車を引いてきちんとした身なりのインド人が助け舟を出してくれた。そこで質問をした。

なんのIDも無いのにガバーメント・ウォッチマンと言っているがどういう事でしょう?人によって値段も違う、集まった皆に払えと言っているのは何故?

すると彼はそこにいたインド人たちと話をしていたが、撮影に金を払う事とガバーメント・ウォッチマンと言う資格についての話は自分には分からないと言って去った。

去り際に彼の職業を聞くと教師で自転車を所有しているので生活は良い方だと教えてくれた。
生と死が同居するベナレス、輪廻転生、カースト・・・不思議の国インド
$圭介のブログ-ベナレス1973 火葬場 撮影 西田圭介