ネットに次の記事が載っていました。紹介します。![]()
“8月14日に開学150周年を迎えた北海道大学は、北の大地における学問の雄として、世界トップレベルの研究者を数多く輩出してきた。「フロンティアスピリッツ」「実学」。多士済々の根底にあるのは、北大が誇りとするこの開学以来の精神。世紀を超えて受け継がれており、今も研究者や学生たちは化学や宇宙、創薬など幅広い研究分野において、未到の領域を切り開こうと挑戦を続けている。
北大から世界へ羽ばたいていった研究者の一人が、米国マサチューセッツ工科大(MIT)メディアラボで副所長を務める石井裕氏。理工系大学の最高峰に30年以上身を置き、未開拓だった学問の領域に切り込んできた。その目に母校はどう映っているのか。
――大学院も含め、北大で6年を過ごしました。
「(北大生の中で歌い継がれてきた)『都ぞ弥生』や『水産放浪歌』はご存じでしょうか。日本を離れて30年になりますが、都ぞ弥生の『連なる山脈(やまなみ)玲瓏(れいろう)として 今しも輝く紫紺の雪に』など、今でも聞くと懐かしい青春時代が思い出され、元気が湧いてきます。北大の精神という、本来なかなか伝わらないはずのものが歌詞に結晶している。『羊々亭』(札幌・ススキノのジンギスカン店)などでの飲み会のたびに必ず歌っていました。日本的な感覚かもしれませんが、みんなと肩を組んで歌うことで共同体的な意識が培われました。歌詞も北大の魅力の一つです」
――北大での学びは、世界最高峰の研究をする今につながっていますか。
「新しいものをクリエイト(創造)したいという、ハングリー精神を培うことができました。データベース研究の世界的権威である田中譲先生という、国際的に活躍する先生のゼミで学び、いつか自分も世界を目指したいと思うようになりました」
――母校の150周年を、どう受けとめていますか。
「一番大事なのは、これから北大がどうやって世界で突出し、貢献していくかを考えることだと思います。大学に求められる役割や期待がどんどん変わる中で北大が、有名な『ビー・アンビシャス(大志を抱け)』の精神を、発明や発見、理論、社会貢献といった形でどう現実のものにしていくのか。節目を、未来に対する決意を固める良い機会にしてほしいです」
――最近の北大は、環境に優しい農林水産業や半導体分野に力を入れようとしています。何に期待しますか。
「環境や半導体分野は当然取り組まなければならない。ただ、(北大が掲げる)『フロンティアスピリッツ』という開拓者精神は、まだ誰も想像しなかった新しい問題領域を発見することでもあります。僕が研究している『タンジブル・ビッツ』はまさにそうでした。デジタルデータを手で触れられる形で表現できるようにする研究です。現在、人類にとっての秘境(学問上の未開拓の領域)は三つあると言われています。宇宙、深海、そして人間の脳です。でも、未開拓の領域はまだまだいっぱいあるはず。先見の明を持って見つけ、新しい研究、学問分野として打ち立て、北大がリードすることができれば、すごい。北大発の問題提起やビジョンを打ち出し、世界からコラボレーションを求められる。こうなったら最高ですね」”
■学生と地域、支え合い歩む
学部、大学院の学生数が1万8千人に上る北大。学生たちは、地域の人々に支えられ、地域住民もまた学生との交流によって活力を得ている。
2007年に発足。メンバーは23人で、地区内11の町内会ごとに担当者を置き、花壇の整備、小学校の体力測定や学校行事の手伝いもする。幌北地区では昨年、人手不足で休止していた夏祭りも復活させた。
桂木悠佑代表は「子どもたちとかけっこをして、住民から『勉強はどうだ』と気遣ってもらって。普通の大学生が経験できない、温かいつながりがうれしい」とほほえむ。幌北連合町内会の永野秀行会長は「力仕事をしてくれて、元気もくれる。地域に必要不可欠な存在」と感謝する。
学生がより所とする場所も多くある。「カネサビル」(北17西4)2階の居酒屋「落陽」にはワンダーフォーゲル部や山岳部などの学生たちが詰めかけ、酒瓶やギター、ゲームが並ぶこぢんまりとした空間で語り合う。壁にはサークル名の書かれた酒瓶がずらり。メニューは無い。予算に応じてお任せで提供する。
店内には、客が自由に書き込める分厚いノートがある。15年間で119冊目。文面からは、研究や人間関係、恋愛に対する悩みがほとばしる。店で朝まで寝て、そのまま登校する学生も。「ちゃんと卒業してほしいけど、若者にはこういう時間も必要かな」と店主の角英明さん=北大中退=。口下手なマスターは今日も、明け方までとぐろを巻く若者たちを見守る。
現場でこその学び
学びの現場では地域との連携が進む。函館キャンパスの地域水産業共創センターでは、地域や水産業発展に貢献する人材育成を目指す「CREEN人材育成カリキュラム」を2025年度から本格実施している。
北大生に限らず函館市内の大学生や高専生が対象。実習では地元業者や漁協らの協力の下、コンブ干しや昆布巻きの製造体験などを行う。日ごろの研究では難しい現場での学びで課題を探る。
つながりは北海道内に限らない。北大唯一の道外教育研究施設、北大和歌山研究林(和歌山県古座川町)では、樹木や野生生物の研究を行う1、2年生が、研究林に隣接する集落で、地域課題と向き合う実習も行っている。この実習に参加した学生が昨年、ボランティアサークル「ワタリドリ」を発足させた。
21人が芝刈りなどの手伝いや行事の企画などを行っており、今年3月には集落で火災が発生した際に人命救助と避難誘導を行った。3年の赤田隼人代表は「研究林開設から今年で101年。長い歴史の中で北大と地域の間に絆があるから、受け入れてもらえている。北大生が地域に来てくれてよかったと思ってもらえるように活動したい」と語る。”![]()
![]()