ネットに日本玩具博物館学芸員・Oさんのコラムが載っていました。紹介します。ニコニコ

 “「ままごと」を漢字で書くと「飯事」。この漢字が示すとおり、ままごとは、本来、「食べること」をさしていますが、私たちが「ままごと遊び」というとき、調理や食事のまね事を中心に広がっていく家庭的な遊び全体をイメージすることが多いでしょう。英語圏では、家事を模倣する遊びを「playing house」といい、これが日本のままごと遊びに対応しています。

 そのような遊びに登場する玩具が「ままごと道具」です。遊び方の違いや目的によって、大きく次の三つに分けられます。

 一つ目は子どもが手に取って遊べるサイズで、なかには本物の食材を用いて調理できる道具も見られます。二つ目はミニチュアサイズで、人形に使わせたり、飾りつけたりして遊ぶもの。三つ目は旅の土産品で、産地の郷土色が表現され、ときには美術工芸的な価値も求められます。

物語る世界観
 いずれも17、18世紀ごろから世界各地で作られており、郷土の食文化だけでなく、社会観や子ども観を物語ってくれます。

 たとえば、ドイツやイタリアなどでは、家庭で用いる道具が均一の割合で縮小され、デザイン性の高さにも配慮したままごとセットが多く見られます。そこには、玩具を通して子どもたちに社会システムを教え、生活文化を丁寧に継承していこうという西欧の考え方が表現されています。

 一方、日本では、箸や包丁が他の道具より大きく作られたままごとセットも少なくありません。全体の統一感を度外視し、「この道具を使って遊びたい!」という子どもの興味関心に寄り添うものといえるでしょう。

 世界に伝承されるままごと道具を集めてみると、アジアや中南米、東欧の国々では、素焼きの鍋や壺(つぼ)、石彫りの香辛料つぶし、竹やヤシの葉、棕櫚の繊維などで編まれた素朴な籠に目が留まります。また、炭を使って加熱する焜炉(こんろ)や水をくむ井戸、臼や杵(きね)など、現代の都市生活では使われなくなった品々も、ままごと道具のなかでは存在感を放ち、かつての台所の様子を生き生きと伝えています。

遊び繋ぐ文化
 ところで、ヒンズー教思想が生活文化を支える南アジアの国々において、清浄と不浄の区別は重要です。年間を通して高温多湿な環境では細菌が繁殖しやすいため、乾燥が速く、食品の色や匂いが移りにくい金属製の容器が好まれます。

 ままごと道具にも真鍮(しんちゅう)やアルミニウム、ステンレス製の食器棚や茶器などが多く見られますが、子どもたちはこれらを使って楽しく遊びながら、食器を清浄に保つ大切さを自然に身につけていくことでしょう。

 イスラム教を信仰する中近東から北アフリカにかけての国々では、戒律で飲酒が禁じられていることもあり、喫茶の文化が古くから発達しています。人々の心の交流に喫茶は欠かせないもの。茶器は大事にされ、それらのミニチュアもまた、装飾品として、家事を学ぶままごと道具として、丁寧に作られてきました。

 子どもたちは小さな手でアラビア式コーヒーを注ぐまね事をしながら、家族や友人、客人たちと心を通わせる作法を学んでいきます。”ニコニコ

   「玩具・ままごと道具の愛らしさ」の中に、“民族性”を感じますね!飛び出すハートキューン