地方のオーケストラにいた父が辞めて始めた喫茶店ル・ジュール。両親亡き後継いだ娘たちは常連たちから三人屋と呼ばれ、性格の合わない3姉妹はそれぞれのやり方で店(三女朝日・モーニングを出すカフェ、次女まひる・うどんを出すランチ、長女夜月・夜食を出すスナック)をやります。その展開はわかりやすい内容です。ニコニコ
 冒頭、モーニングの場面は爽やかに始まりますが、夜月の奔放な所に朝日、まひると幼馴染の大輔は振り回され、内容がだんだんと息苦しくになっていきます。ある日、夜月は店の有り金を持ち出し、父が唯一出したというレコードを探しに三人屋から失踪。情報を手に入れて居ても立ってもいられなかったのに、持ち帰ったレコードは父のではないかもしれない。一枚のレコードの為の代償としては大きすぎるかも・・。三姉妹は仲が良くなく不器用でどこか煩わしさや寂しさを抱えるが、お互いのことが気になるし、心配しあっています。それぞれが苦悩し、複雑な思いを抱き、転けたりぶつかったりしながら少しずつ寄り添ったりして生きていきます。結末は、白とも黒ともつかないグレーな感じですが、「読んで良かった」と思えるストーリーでした。音譜
 三人屋は地元密着型の店。偶然きたサラリーマン、町内にいる鶏肉屋、三人娘と関わりのあるスーパーの店員などなかなか人間模様が色鮮やかでユニークです。商店街の人たちはおせっかいだけど、出入りする人たちのそれぞれの事情がよく描かれ人間味を感じられました。不完全な人たちが紡ぎ出す「普通」のようで「普通」でない物語です。また、親子、姉妹、夫婦とは何か、「どうすればいいのか家族でもわからないこともあるし、家族だからわかることもある」という戸惑いも描かれていました。ニコニコ   

 *ストーリーに出てくる「トースト、うどん、キャベツの糠漬け」が美味しそうで、食べてみたくなりました!「心も胃袋もつかむおいしい人情エンターテイメント」ですね!
  登場人物がやや多くどうなるのか気になりながらも、読み進める内に謎が解けていきました。原田ひ香さんらしい筆の進めかたです。信じるものは人によってそれぞれ違いますが、「目の前の日常を大切に生きていきたい」と思いました!飛び出すハートキューン