ネットに次の記事が載っていました。紹介します。![]()
“作家の三浦しをんさんが、短編集『夜の恩寵(おんちょう)』を出しました。創作への思いを聞きました。(中略)
「短編は、いずれ一冊にまとめることを意識して書いています。それぞれ独立した短編でも、ゆるやかに共通するテーマを考えながら。巻末で全体のテーマを明かすのは、読者に『そうだったのか』と、読み返して頂きたいからです。テーマを知れば、最初とは違う読み方ができるかなと」
「神馬に乗る女」は、東京で働く輝久に帰省をうながす父の電話から始まります。
〈助けてくれ、輝久〉
〈お母さんがおかしいんだ〉
いつからか、若い継母は周囲から霊能者あつかいされるようになっていて…。
本書でポイントとなるのは夢です。
「夢はよくみるほうです。夢をみるのが楽しみで寝ている感じもあるくらい(笑い)」
一日十四時間寝ていた時期もありました。
「年齢のせいか、いまはあまり眠れなくなりました。寝付きも悪く、いまは十時間くらいです。これで十分なのかな?」
「胡蝶」は、夫に原因があり子どもができない夫婦が主人公。妻が夢のなかで出産し、夢をみるたびに成長する子どもを育てます。
「夢の中での妊娠は、私がみた夢がもとになっています。実際には思い当たる節は何もないんですけれど(笑い)、妊娠している、どうしよう、仕事の調整もしなくてはと。結構前向きに受け止めている自分がいて、印象に残っていました。友達から聞いた、出産がいかに大変かという話も参考にしながら書きました」
小説ならではの展開に驚かされる作品です。
「私はエビが好きで、おいしそうなエビの夢をよくみます。でも、目が覚めたらエビは無い。すごくがっかりするんです。あのエビはどこへ…(笑い)。そんなことばかり考えて暮らしていたら、こんな小説になりました。小説家って、不思議な仕事です。夢は現実の体験がにじみ出る。それと同じで、小説にも体験が抽出されます。それも、無意識にそうなるところが夢と小説は似ています。特に私の短編は、みた夢に通じる部分があります」
物語はやがて、予知夢から新興宗教的な世界へ進展し…。
「予知夢を信じる人たちが増え、共同体のなかで同調圧力となって苦しめられる人が出たり、異を唱えることが難しくなったりする。そういう怖さ、よくないかたちの宗教的な萌芽(ほうが)も描きたかった。そこからいかに脱却するかも、ふれられたらいいなと」
(中略)
執筆には、締め切りという「外圧」が必要です。
「書いている時はいつも苦しいなと思っています。でも、案外続けてこられたことを考えると、わりと楽しんでいるのかもしれないと思うようになりました。30代は、もっと働かなくてはと不安があり、めちゃめちゃ働き体を壊しました。40代は自分のペースを心がけるようになり、いまはようやく慣れてきた感じ。それなりに、楽しく仕事をしていると思えるようになりました。そうなるまでに、ちょっと時間はかかりましたが」”![]()
作品のポイントとなるのは<夢>とは、一見、普通では思いもつかないほど風変わりで奇抜なことのように思いますが、読み進めるうちに「そうだったのか」と感じさせてくれます!![]()
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*三浦しをん(みうら・しをん);1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』でデビュー。『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞、『舟を編む』で本屋大賞、『あの家に暮らす四人の女』で織田作之助賞、『愛なき世界』で日本植物学会賞特別賞