事務機器を扱う会社に勤め、平凡に暮らしていたはずの主人公に告発文が。誰が何のために告発文を送ってきたかに少し「心当たりがある」主人公が調べ始め、関わった人との事情や背景を知っていき、登場人物のこころの襞を丁寧に描きながら少しずつ話が分かってきて、最後はすっきりと終わりそうだな…と思っていたら、鳥肌が止まらないラストが少し辛すぎました。![]()
作品の内容は、学校内で生徒同士に生まれる暗黙の序列などいじめやハラスメントの土台になるスクールカースト的な感覚を引きずって大人になる感じです。そして、繰り返されるのは「罪の意識」と学生特有の自分の評価を相手にゆだねる「友達評価システム」。男女差というより個人差の内容かな・・。![]()
途中いろいろな事柄が出てきて面白くて一気読みしましたが、対象の世界に強く引き込まれ現実や周囲を忘れるほど集中できる「没入感」が他の湊作品より少なかったのは、かつてのゼミ仲間の主人公グループの行動様式(事故で亡くした広沢への罪の意識がバラバラなど)に疑問を覚えたからだと思いますが。ただ、好きな人への優しさが裏目に出たりしながらも、主人公はいろいろな人にとって大切な友達だったんだろうと感じました。![]()
ストーリーの展開に触れると、物語の序盤は、自分の弱さに向き合わずに他人の責任ばかりを追求し相手の立場に立ってない深瀬に対して引っ掛かりを感じましたが、「広沢はどんな人間だったのか、その生きた証としての足跡を探すために広沢の両親や級友たちと対話する」うちに、 少しずつ深瀬のなかで変化が起きました。おおらかで包容力のある広沢と自分に自信のない深瀬。事故で亡くなった広沢の人となりを追う深瀬が「広沢は深瀬に合わせていただけ」と「広沢は本当にいい奴」の間を行ったり来たり。自分がいちばん罪のない人間だと思っていた深瀬にとっては物語の締めくくりは、「非常に残酷な事実を突きつける」正反対の結果になりました。![]()
終わりの数ページで和やかな雰囲気の後、最後の1行で、読後に嫌な余韻が残るタイプのミステリー小説・イヤミスでした。ストーリーとしては「解決」?しても、爽快感よりモヤモヤや後味の悪さが残りました。ただ、広沢くんの本当の性格、コーヒーのマスター夫婦の素性など色々想像しながら楽しんでみました。![]()
*これまで、湊かなえさんの男性が主人公で男性だけが登場する作品は読んだ事はなかったです。以前にドラマ『リバース』で見た藤原竜也さんの影響?を受けながら読み進めました。
推理しながら読むミステリーって面白いし、湊かなえさんの作品は読みやすいです。平易な言葉で書かれ、温かいコーヒーの香りをしながら日常の何気ない会話などが共感でき、分かる部分も多かったように思います。![]()
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