演劇鑑賞会で演劇集団Ring-Bong『さなぎになりたい子どもたち』を観ました。ニコニコ

 演劇集団Ring-Bongは、文学座出身の山谷典子さんんが台本を手掛ける演劇ユニットで、日本が持つ忘れてはならない歴史や今も抱え続ける問題に焦点を当てた作品を上演してきました。今作では中学校の保健室を舞台に、社会問題にもなっている“ヤングケアラー”や、親の言いなりになってしまい自分の人生を自分で決められず、生きづらさを抱えている生徒たちの姿を描いています。音譜

  台本を手掛けた山谷典子さんと演出をした藤井ごうさんへのインタビューがネットに載っていました。(一部を紹介)ニコニコ

“記者 山谷さんはこれまで満州や過去の日本の歴史の話を書いてきましたが、前回は児童虐待、今回はヤングケアラーや貧困をテーマにされています。前回からそれまでとは違ったテーマにシフトチェンジされた理由は何だったのでしょうか。
山谷 間違いなく、子どもが生まれたからですね。どうしても「この人たちの未来どうなるんだ」ということを考えてしまうので、今問いたい、今自分が考えたいテーマを取り上げて書いているというのが大きいです。だから今後、息子の成長と共に描きたいものも変化していくんだろうな、という気がすごくします(笑)。
藤井 書く内容が、ちょっと未来を見つめる感じになりましたよね。内容を提示するだけじゃなくて、その先がどうなるかということに対してより自覚的になってきてるんじゃないかな、と僕は勝手に思っていて、そこにちゃんと俳優さんの血肉を乗せられるか、かつそれが説教くさくならずにできたらいいな、と思いながら作っています。(中略)
山谷 例えばジャーナリズムにおけるヤングケアラーの取り上げられ方が、どうしても悲惨な出来事として扱われていることが多くて、でも私はそうやって「特別な人」になってしまうのは避けたいと思っています。全然特別なことなんかじゃなくて、実際に周りにたくさんいるんですよ。他人事じゃなく自分事としてみんなで考える作品にしたい、というのは書く動機としてとても大きいです。
記者 山谷さんとしては今後も心を動かされたものを題材に書いていくことになりそうでしょうか。
山谷 多分そうなる気はしてます。例えば、いわさきちひろさんはお子さんが大きくなるにつれて描いている子どもの年齢も上がっていったように、芸術は自分が一番描きたいものはこれだ、という気持ちに素直にやっていいんじゃないのかなという気持ちもあります。
藤井 作家さんはテーマを依頼されて書くのも一つですけど、そうやって自分の中にあるものを育てて書くというのも大事なことなんじゃないかなと思いますね。
記者 お客様へのメッセージをお願いします。
山谷 演劇は、同じ空間で物語をのぞき見しているような感覚になれるところが私は好きなんです。今回は中学校が舞台なので、「ああいう先生いたな」とか「自分の先生はああだったな」とか、お客様はいろいろ思い出しながらちょっとのぞき見をしているような、不思議な感覚になるような気がしています。あと、自分たちの時代と現代はこんなにいろいろ違うんだ、ということも話の中に盛り込んであるので、この作品を通して自分たちの暮らしを考えるきっかけになったら嬉しいです。
藤井 自分と似てる誰かがこの作品の中にいて、それが子どもなのかもしれないし、保護者なのかもしれないし、先生なのかもしれないですが、そんな視点で興味を持っていただければ、観終えた後に見える風景が多分少し変わるんじゃないかな、というふうに思っています。あまり高らかに何かを訴えるということではなく、社会の縮図の人間ドラマが展開していくところが見どころだと思うので、そこをぜひご覧ください。”飛び出すハート

   劇のあらすじ;
 “問題が起こりがちなボランティア部の顧問をおしつけられた養護教諭の道子。「さなぎの中って溶けてるらしいよ、ドロッと。」「液体?」「うん。リセットしてさ。それから大人になるんだよ。」カブトムシの世話をしながら話をする天音と稟のことが気になり・・。周りから浮いている二人が抱える問題は、道子が思うよりも大きなものだと分かり…。人の一生のさなぎの時期、成長過程である中学生を描く。ヤングケアラー、子どもの貧困にスポットを当てて、コロナ禍の公立中学校を舞台に繰り広げられる物語。”うーん

​ 作:山谷典子 演出:藤井ごう 出演:藤井美恵子(青年劇場)、佐々木梅治(劇団民藝)、川口圭子(劇団銅鑼)、鬼頭典子(文学座)、遠藤好(青年座)、樋口泰子(無名塾)

 ネットに載っていた感想から私も共感したものをいくつか挙げると・・。!!キューン
・保健室、中学生…今の自分とかけ離れているので楽しめるかなと不安があったが、自分 のこと、親のこと、重ね合わせていろいろ考えた。
・すごく感動した。重いテーマなので、重苦しい気持ちでおわるのかと思ったが、最後は とてもうれしい気持ちでいっぱいだった。
・コロナ禍の中学生の物語。あの時のことがしっかりと描かれていた。今、子ども達がかかえている問題や先生達のことも全てリンクして良かった。先生も生徒も大変。        ・切れのいいテンポのある芝居で、素晴らしかった。場面転換もスムーズで、芝居の流れもいい舞台だった。
・教育現場に平教員から管理職まで36年間過ごした私には、いちいち身につまされる場面の連続だった。学校現場・保健室の実情を実に良く押さえていた台本・演出で、とても示唆に富む内容で、実態を細部まで踏まえた130分だった。
みなさんお疲れ様でした。
・「家族に正解はない」はその通り! 現代社会の縮図だと感じた。
・自分のすぐとなりにもある問題なのに「見ない、聞かない」となりがち。一歩ふみだす 勇気になるかもと思った。      
・切ない、切なすぎる、辛いなあと思いながら観ていたがハッピーエンドで救われた。これからの若い人に自分は何をしてあげられるのだろうかと自問しながら観た。
・まわり舞台とカレンダーの使い方がおもしろかった。上にかかっていた白い布がきれいですがすがしかった。
・事実はひとつでも、立場が違うと真逆に感じてしまう。子と親、男と女、子育てをしな がら働く人そうでない人、寄り添うことの大切さを感じた。
・感動的なせりふが多く心に響いた。典型的なキャラクターが、色々な社会の断面をみせてくれて、終始熱い気持ちがこみ上げた。
・感動するセリフがたくさんあり、考えさせられることが多くあった。最後は良い方向になって良かった。
・どこにでもある題材(ヤングケアラー、不登校など)だが、「素敵な感動」に感謝!子育てのお母さん、お父さんに見てもらいたい(特に思春期の子どもの親の方に)
・教師の人物像を含めリアルな細部の描きかたは、女性の作者ならではの視点でよかった
・大道具をコンパクトにまとめて、回転させるだけで有効に変化させている舞台にに感心した。これからの省エネ時代には必要なこと。
・芝居は感情意入ができると改めて思った。いろんな場面で考えさせられたり、思いを共有したり、みごとなお芝居だった。学校公演をしてほしいくらいだった。